イスラエルとのFTAに署名

(コロンビア)

ボゴタ事務所

2013年10月10日

政府は9月30日、イスラエルのエルサレム市でイスラエル政府と、事実上の自由貿易協定(FTA)に当たる通商協定に署名した。コロンビアからの輸出品目のうち工業製品98%、農産品97%についてイスラエル側の輸入関税が撤廃され、イスラエルからの輸入品の69.5%についてコロンビアにおける関税が撤廃される。果肉など農産品や衣料品の対イスラエル輸出の拡大、イスラエルの先端育種技術の導入が期待されている。協定の発効は2013年末から2014年初と見込まれている。

<発効は2013年末から2014年初>
コロンビア政府代表のセルヒオ・ディアス・グラナドス商工観光相は、イスラエル・エルサレム市で9月30日、イスラエル政府代表のナフタリ・ベンネット経済相と自由貿易、投資、協力などの内容を含む通商協定に署名した。サントス大統領と同商工観光相は6月にコロンビア企業の代表を引き連れ、イスラエルの主要企業約280社とビジネスマッチングを行っており、今回の署名に向けた地ならしをしていた。

当地経済専門紙「ポルタフォリオ」、一般紙「エル・ティエンポ」、政治経済紙「ラ・レプブリカ」(いずれも9月30日)は、それぞれ順に「イスラエルとのFTAが投資家の関心を目覚めさせる」「主に農産品分野がメリットを享受」「イスラエル先端技術がFTAの勝者」とのタイトルの記事を掲載した。特に「ポルタフォリオ」紙は、ヨエド・マゲン駐コロンビア・イスラエル大使とのインタビュー記事を1ページ分掲載した。インタビューの要点は以下のとおり。

(1)通商協定の発効は早くて2013年末、遅くて2014年初を見込む。
(2)コロンビアの伝統産品、イスラエルの先端技術など両国の補完性により「ウィン・ウィン」の通商関係構築が期待される。
(3)イスラエルの先端育種技術をコロンビア(世界第4位のバナナ輸出国)の当該分野に導入し協力発展させることが可能(北部アンティオキア県の大学でイスラエル企業が育種開発研究所を設置済み)。
(4)コロンビアの輸出有望品目として農産品(食肉、砂糖、パン、果肉など)、軽工業品(衣料品など)が挙げられる(特に果肉はエクアドル、ブラジル以上に期待される)。
(5)サントス大統領が引率するコロンビア官民合同ミッションが2013年6月にイスラエルを訪問し有望企業280社と面談、うち重要企業20社超と突っ込んだビジネスマッチングを実施し、コロンビア側は手応えを得た。
(6)サントス大統領は訪問時、中でもジェネリック医薬品メーカーで世界最大手のテバ(Teva)に強い関心を抱き、大統領自ら同社に対してコロンビアへの投資誘致を行った。

<輸出の9割強が石炭、輸入の約7割が機械類>
商工観光省の対イスラエル貿易動向によると、2012年の対イスラエル輸出は5億2,582万ドル(前年比21.8%減)で、そのうち石炭が4億9,606万ドルと最大の輸出品目(前年比22.9%減、輸出全体の94.3%)だった(表参照)。2位は同じく伝統産品のコーヒーで1,436万ドル(43.6%増、2.7%)だった。

コロンビアの対イスラエル輸出

一方、イスラエルからの輸入は1億6,010万ドルで、貿易収支はコロンビア側の出超となっている。同省広報ニュース(9月27日)によると、輸入品のうち機械類が最大(輸入全体の67.9%)で、次いで基礎化学品(9.6%)、繊維品(6.7%)、武器(4.6%)、プラスチック製品(4.3%)、その他(6.8%)となっている。

(清水文裕)

(コロンビア)

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