日本との特許審査ハイウエーを2014年から開始

(タイ)

バンコク事務所

2013年10月01日

タイ知的財産局と日本の特許庁は9月25日、2014年1月から「特許審査ハイウエー」を開始することで合意したと発表した。これにより、日本で特許査定を受けた発明については特許審査ハイウエーを通じて、タイにおいても早期の特許権取得が期待される。

<日系企業の事業円滑化に期待>
ジュネーブで開催された世界知的所有権機関の総会に出席した羽藤秀雄特許庁長官とパッチマ・タイ知的財産局長の会談が開催され、2014年1月1日から特許審査ハイウエー(注)の試行を開始する旨の合意文書に署名した。

今回の合意により、日本で成立した特許権についてタイにおいても早期の特許化が可能となり、日系企業のタイにおける事業展開の円滑化が期待される。試行期間は2014年1月1日から2016年12月31日までの3年間の予定だが、両者の合意により延長も可能。なお、特許審査ハイウエーは2国間の取り決めであり、日本にとっては27ヵ国・地域目の知財当局との合意になるが、タイにとっては初の試みとなる。

今回の合意について、特許庁で特許審査ハイウエーを担当する小太刀慶明調整課長補佐は「タイはアジア新興国の中でも特に特許審査の遅延が指摘されていた。今回の特許審査ハイウエー締結により、状況の改善を期待したい。東南アジア各国を含め特許審査ハイウエーの対象国拡大はユーザーニーズが高い。例えば、マレーシアとベトナムといった未締結の国々への働き掛けを強め、さらなる対象国の拡大を図っていきたい」と述べている。

特許庁は今後も特許審査ハイウエーの対象国拡大を図るとともに、海外の特許機関との間で申請手続きの共通化・簡素化に努めることによって、日本の出願人の海外における迅速な権利取得を支援するとしている。

(注)ある国で特許権を取得することが可能と判断された出願について、出願人の申請により簡易な手続きで早期審査を申請することができる制度。

(大熊靖夫/アジア知的財産担当)

(タイ)

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