対内投資は大幅な引き揚げ超過に−第2四半期の直接投資動向(1)−

(ドイツ)

デュッセルドルフ事務所

2013年09月12日

連邦銀行によると、2013年第2四半期(4〜6月)の対内直接投資額は70億600万ユーロの引き揚げ超過となった。EU域内からの投資が大幅に減少したことがその主因だ。ドイツの2013年第2四半期の直接投資動向について対内、対外の2回に分けて報告する。

<EU域内の引き揚げ超過が主因>
連邦銀行の8月30日の発表(40ページ〜)によると、2013年第2四半期の対内直接投資額は、第1四半期の76億9,700万ユーロから、マイナス70億600万ユーロと大幅な引き揚げ超過に転じた(表参照)。

対内直接投資の動向を国・地域別にみると、EU域内からの投資はマイナス41億5,800万ユーロと第1四半期の66億4,000万ユーロから急減し、投資総額の落ち込みの主因となった。ユーロ圏も同様の傾向を示し、37億8,500万ユーロからマイナス50億4,000万ユーロと引き揚げ超過に転じた。オーストリア(5億5,400万ユーロ)とフランス(3億8,100万ユーロ)からの投資はプラスだった一方、オランダ(マイナス1億9,200万ユーロ)、スペイン(マイナス14億1,800万ユーロ)やイタリア(マイナス18億6,100万ユーロ)などは軒並み引き揚げ超過となり、投資活動の落ち込み傾向がみられる。

ユーロ圏からの投資案件として、フランスのソフトウエア大手ダッソー・システムズが4月25日、同業のフェ・デザインの買収を発表した。

ドイツの国・地域別対内直接投資額

ユーロ圏が引き揚げ超過に転じた一方、非ユーロ圏のEU域内からの投資は8億8,200万ユーロとプラスを保った。スウェーデンからの投資は9億9,900万ユーロ、デンマークからの投資は8,400万ユーロとそれぞれ減少したもののプラスを維持した。一方、ポーランド(マイナス9,600万ユーロ)と英国(マイナス5億6,400万ユーロ)は引き揚げ超過となっている。

具体事例をみると、英国の投資会社であるキーへイベン・キャピタル・パートナーズが6,000万ユーロを保険会社のダラグに出資した(ダラグプレスリリース4月23日)。

<アジアからの投資も減少傾向>
欧州域外からの投資を国・地域別にみると、アジアはマイナス7億4,500万ユーロと第1四半期に続き2期連続の引き揚げ超過となった。中国(マイナス4,100万ユーロ)、日本(マイナス1億1,200万ユーロ)と韓国(マイナス1億8,200万ユーロ)と主要3ヵ国は軒並み引き揚げ超過となっている。

全体としての投資活動は鈍化しているものの、自動車分野での投資案件が目立った。日本の東海ゴム工業は5月29日、自動車用防振ゴムメーカーのアンウィスグループを1億3,500万ユーロで買収したと発表した。欧州で生産拠点を擁している日系自動車メーカーへの製品供給と現地顧客のニーズを反映した製品開発が狙いだという。その他、インド自動車部品メーカーのアムテック・オートは3月10日、同業のノイマイヤー・テクフォア・ホールディングを買収し、契約に署名したと発表した(2013年4月11日記事参照)

北米からの投資もマイナス13億3,100万ユーロと、引き揚げ超過に転じた。米国からの投資はマイナス12億9,300万ユーロだった。今後の撤退事例としては、4月24日付の当地公共放送「ヘッセィシャー・ルンドフンク」(オンライン版)によると、米国医薬品大手イーライ・リリーがドイツ中部ヘッセン州のギーセンにある医薬品包装の生産拠点を2014年中に閉鎖し、スペインに移転する。

(ゼバスティアン・シュミット)

(ドイツ)

対外投資もユーロ圏中心に急減−第2四半期の直接投資動向(2)−

ビジネス短信 522fc700109a0