関税制度の一部見直しを実施−日本からの輸出品への影響は限定的−

(ベネズエラ)

カラカス事務所・中南米課

2013年09月03日

2013年7月15日付臨時官報6105号で政令236号が公布され、関税制度が一部見直されることとなった。見直しの対象となった範囲は食品から鉱物、化学品、繊維、機械まで多岐にわたるが、日本からの主要輸出品に対する影響は限定的だ。ベネズエラは2012年8月12日に南米南部共同市場(メルコスール)に正式加盟し、2013年4月5日からメルコスール対外共通関税の適用を始めている。

<見直しの対象は多岐にわたる>
政府は2012年12月6日付メルコスール共同市場審議会決議第31/12号に基づき、2013年4月5日から段階的にメルコスール対外共通関税の適用を始めている(2013年4月4日記事参照)。同決議によると、2013年4月5日から1年ごとに4段階に分けて対外共通関税の適用対象品目を広げることとなっており(2回目の対象品目拡大は2014年4月5日、3回目は2015年4月5日)、2016年4月5日からは一部の例外品目を除いて全ての品目に対し、メルコスールの対外共通関税が適用される予定だ。

今回の関税制度の見直しは、2013年4月5日から適用されていた政令9430号(2013年3月25日付臨時官報6097号で公布)を修正するかたちで行われた。見直しの内容は、条文の微修正や、関税品目コード細分の定義・分類の軽微な変更など細かいものが多いが、輸入品に適用される規制および規制官庁の変更、適用関税率の変更も含まれる。

関税率・定義などに変更があった、もしくは細分が追加された品目(HSコード6〜10桁ベースで595品目)、および廃止となった品目(HSコード6〜10桁ベースで67品目)の一覧は、政令236号に10条の付表として記載されている。対象となった品目が含まれる範囲は、HSコードの第1部〜第2部、第4部〜第7部、第9部〜第18部、第20部に及び、食品から鉱物、化学品、繊維、機械に至るまで多岐にわたる。

<主要輸出品の一部は関税率引き下げ>
ベネズエラ側の輸入統計〔出所:国家統計院(INE)〕でみると、日本からの主要輸出品目となるのはHSコードの29類、30類、38類、40類、84類、87類、90類に含まれる品目だ。HSコード6桁ベースでみたときの日本からの主要輸出品目で、今回見直しされた品目に含まれるのは、HSコード3004.39(医薬品の一部)、8708.99(自動車部品の一部)、3822.00(診断用または理化学用の試薬)だ。

3004.39(医薬品の一部)については、7桁目以降の細分(3004.39.39およびその細分、3004.39.8およびその細分)が新たに追加され、輸入価格(CIF)に対して8%もしくは12%の関税率が設定された。8708.99(自動車部品の一部)については、その細分である8708.99.10の関税率は、見直し前には2013年4月5日から2015年4月4日まで一貫してCIFの15%と設定されていたが、5%に引き下げられた。3822.00(診断用または理化学用の試薬)については、その細分の3822.00.90.90の輸入に必要だった厚生省の衛生登録が不要となった。

今回の見直しの対象は多岐にわたるが、見直しの内容は微調整と呼べるような細かいものが多く、日本からの輸出品への影響は限定的だ。なお、見直し内容は政令236号が官報を通じて公布された7月15日から有効で、輸入品に適用される規制および規制官庁の変更については公布日の7月15日から60日間適用が延期される。

なお、政令236号は国家税関徴税統合庁(SENIAT)のウェブサイトからダウンロードが可能だ。「Arancel」と書かれたリンクから政令236号の本文(今回の見直し内容、および見直し適用後の関税率表が記載されている)をダウンロードでき、「Anexo」から対外共通関税の例外品目などの一覧が書かれた別表をダウンロードすることができる。

(松浦健太郎、伊藤晃)

(ベネズエラ)

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