開城工業団地の再開にようやく合意

(韓国、北朝鮮)

中国北アジア課

2013年08月27日

操業中断状態が続いていた開城(ケソン)工業団地について8月14日、7回目の南北当局間実務協議が同団地内で開催され、正常化に向けた5項目を採択することで合意し、操業再開に向けて大きく前進した。2013年4月3日に北朝鮮が韓国側関係者の同団地立ち入りを一方的に禁止していた。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<難航した実務協議>
北朝鮮側は6月6日に開城工業団地の正常化を話し合う実務協議の開催を提案し、いったんは6月12〜13日にソウルで開催することで合意したが、出席者の格をめぐって南北双方の意見が合わず、協議は突然中止になった。

その後、南北間の話し合いの結果、7月6〜7日に第1回実務協議が板門店で開催され、韓国統一部は同団地の操業再開で合意したと発表した。しかし、再開の条件として韓国側が強く求めていた「再発防止策」については、双方の主張が平行線をたどり、7月25日まで6回の協議を重ねたものの、合意には達しなかった。

このため、統一部は「開城工業団地が閉鎖されるのもやむを得ない」との覚悟の下、7月29日に北朝鮮側に対し、事実上の最後通告ともいえる7回目の実務協議の開催を提案した。これに対し、北朝鮮側は8月7日になって、実務協議を同団地内で8月14日に行うことを提案してきたため、韓国政府はこれを直ちに受け入れることにした。このように、当初は6月から操業再開に向けての話し合いが行われる予定だったが、数回に及ぶ協議は難航し、北朝鮮の立ち入り禁止発表による操業中断状態から操業再開の合意に達するまで133日もかかった(添付資料参照)。

<操業再開への合意内容は5項目>
操業再開に向けて、今回合意に達した内容は大きく分けて次の5項目だ。

(1)南北双方は開城工業団地の操業中断の再発防止に共同で対処する。また、南北共同委員会を設置し、操業中断で被害を受けた企業への補償や関連問題を協議する。
(2)南北双方は開城工業団地に出入りする韓国人の身辺の安全を保障し、企業の投資資産の保護、通行・通信・通関問題を解決する。
(3)南北双方は開城工業団地内の企業に対し、国際的なレベルの企業活動を認めることで、国際競争力のある団地に発展させる。
(4)南北双方は合意事項を履行するために、南北共同委員会を設置・運営し、傘下に必要な分科委員会を置く。
(5)南北双方は開城工業団地の企業が設備の整備を行い、再稼働できるように積極的に努力する。

合意書では、最大の懸案だった「再発防止策」をはじめ、北朝鮮側に一方的に責任を負わせるのではなく、南北双方が互いに協力して問題の解決に当たるとしている。ただし、具体的な操業再開の時期については、合意書には盛り込まれておらず、設備の点検や合意書に盛り込まれた内容を実現するための分科委員会の設置などの体制整備にも時間を要すると考えられることから、操業再開までには、まだかなりの時間がかかるものとみられる。

韓国では、北朝鮮による一方的な操業中断の責任を北朝鮮側に認めさせることはできなかったものの、再発防止に共同で対処するとした点や、今後、開城工業団地を国際水準の工業団地にすること、韓国以外の外国企業も積極的に誘致していくと北朝鮮と合意したことは評価されている。

<離散家族再会や金剛山観光事業の再開にも好影響か>
開城工業団地の操業再開に向けて南北双方が合意したことについて、朴槿恵(パク・クネ)大統領は8月14日、「南北関係が新たに出発する契機となることを望み、併せて開城工業団地の国際化に向けて南北が共に努力していくことを期待する」と述べた。

今回の合意をきっかけに、開城工業団地と同様に中断状態にある離散家族再会事業や金剛山観光事業の再開なども進展する可能性があり、朴大統領が掲げる「朝鮮半島信頼プロセス」の具体化に結び付くことも考えられる。

(根本光幸)

(韓国・北朝鮮)

ビジネス短信 5216ff8a17700