退職年齢引き上げで企業の年金負担が増大

(マレーシア)

クアラルンプール事務所

2013年08月14日

公的年金制度を運営する従業員積立基金局(KWSP)は8月5日、民間企業の退職年齢が2013年7月1日から引き上げられたことに伴い、雇用主の拠出率を一部年齢層で引き上げると発表した。新制度は8月分の給与から適用される。

<雇用主の拠出率を引き上げ>
公的年金に当たる従業員積立基金(EPF)を運営するKWSPによると、EPFの拠出率を、従業員の年齢が60歳未満の場合、従業員の月額給与が5,000リンギ(約15万円、1リンギ=約29.9円)超なら雇用主負担は賃金の12%、従業員負担は11%に変更する。月額給与が5,000リンギ以下の場合は雇用主負担は13%に増える(表参照)。

拠出率は従業員の年齢と給与によって変わる。従業員の月額給与が5,000リンギ超かつ年齢が60歳以上75歳未満の場合、雇用主の拠出率は6%、従業員は5.5%となる。例えば7月以前は、58歳で月額給与額が5,000リンギを超える従業員の場合、雇用主負担は6.0%だったが、8月以降の雇用主負担は12.0%と2倍になる。本変更は2013年8月分の給与から適用される。

EPFの法定拠出率の変更

<引き出し時期は不変>
今回の拠出率の変更は、政府が2013年7月1日から民間企業の定年退職の年齢を55歳から60歳に引き上げたことに対応したものだ。ただし、拠出率は改められたが、EPFの引き出し可能な時期は今までと変更はない。EPFには、55歳から全額引き出すことができる口座と、50歳から一部引き出し可能な口座がある。

本制度改正に関する問い合わせは、KWSPウェブサイトもしくはコールセンター(60−3−8922−6000)で受け付けている。

(新田浩之)

(マレーシア)

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