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歯科医の研修教育で市場を創造−デンタルインプラントのオステム−

(韓国)

ソウル事務所

2013年08月05日

1990年代末まで韓国のデンタルインプラント(以下、インプラント)市場は極めて小規模だった。ところが、2000年のオステム・インプラント(OSSTEM IMPLANT)の本格的参入を契機に、市場は急成長を遂げた。同社は歯科医の研修を重視するほか、諸外国でのインプラント市場の成長の可能性に着目し、海外事業にも力を入れている。ジェトロは6月21日、同社にインタビューを行った。

<医療分野で最大の成長業種>
韓国の医療産業分野で過去10年間の成長が最も著しいのがインプラント産業だ。1990年代末までの国内のインプラント市場の規模は極めて小さく、また、国産メーカーはほとんど存在しなかった。しかし、その市場規模は2012年現在、2,700億ウォン(約243億円、1ウォン=約0.09円)に成長し、国産メーカーの割合も8割余りに達している。

その成長は、オステム・インプラントが2000年にインプラント市場に進出し、インプラントの普及に努めた結果といえる。同社の事業展開を企画チームのチェ・ジュンヒョク次長に聞いた。

問:会社の概要について。

答:1997年に歯科の経営管理用のソフトウエア専門企業として設立し、2000年からインプラント製造企業に業種転換した。元歯科医だった最高経営責任者(CEO)が、外国メーカーの高価な製品のみが利用されていたインプラント産業に参入し、価格を抑えれば成長の可能性があると判断した。現在、従業員は約1,500人で、21ヵ国に海外現地法人を運営している。当社は業界では2012年の売上高でアジア1位、世界6位の企業に成長した。

問:韓国のインプラント市場の現状は。

答:韓国のインプラント市場の本格的な成長は、当社が同市場へ進出した時から始まったといえる。1990年代末までは韓国人の間でインプラントの知名度は低く、治療費も歯1本当たり400万〜500万ウォンもするなど、富裕層のための治療という認識が強かった。また、インプラントの施術能力がある歯科医も全体の約2%にすぎなかった。今は、施術ができる歯科医の割合も85%まで伸び、その結果として、価格は100万〜150万ウォンまで下がった。施術ができる歯科医の割合は米国が20%、欧州が40%なので、韓国は相当高い数値だ。

<研修教育センターが重要な役割>
問:インプラント市場に参入し、発展することができた要因は。

答:インプラント研修教育センター(AIC)が大きな役割を果たした。インプラント市場の発展のためには、施術が可能な歯科医を育成することが最も重要だと判断した。このため、研修教育センターを設立し教育プログラムの質を高めた結果、国内で年間1,000人以上の歯科医が同教育プログラムを通じ、インプラントの施術を習得できた。インプラントの施術が可能な歯科医が増えるにつれ、治療費も下がり、また、市場の需要も同時に増加した。同研修教育センターでの教育プログラムは、海外の市場開拓の際にも非常に重要な役割を果たしている。

問:その他の経営戦略とは。

答:まず、研究開発(R&D)への投資を積極的に行い、常にインプラント用品の品質向上を図っている。他の戦略としては、代理店を設けず、直販形式にこだわっている点を挙げることができる。現在、一部の欧州地域を除いては、全ての地域で営業社員が歯科医を訪問して販売するようにしている。その理由は、代理店などの中間流通を通すと製品の理解度が下がる懸念があり、顧客管理がずさんになっていくからだ。このため、当社は営業社員を必ず正社員として採用し、教育訓練を徹底的に行っている。

さらに、当社はテレビのコマーシャルや新聞広告など一般の人を対象とした宣伝も積極的に行っている。病院を顧客とする医療機器メーカーがテレビのコマーシャルまで利用して宣伝することは本来、珍しいことだが、その戦略は成功し、当社は歯科医のみならず一般の人にも知られるようになった。

問:今後の事業戦略については。

答:韓国市場は、30社以上の国内インプラントメーカーが続々参入して競争が激化しており、飽和状態に差し掛かっている。しかし、インプラント市場は新興諸国を中心に今後の成長が見込める産業なので、海外市場での収益増加がより期待される。特に中国をはじめとし、歯科のインプラント施術が可能な歯科医が少ない国々において、インプラント治療の普及率を高めていくつもりだ。

〔柳忠鉉(ユ・チュンヒョン)〕

(韓国)

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