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2次以下の下請け企業は協定の対象外との解釈も−JTEPAを利用した自動車部品輸入(1)−

(タイ、日本)

バンコク事務所

2013年07月23日

日本からの自動車部品輸入に際し、日タイ経済連携協定(JTEPA)を利用する場合、(1)タイ国内仲介取引は認められない、(2)2次下請け(Tier2)より下部に位置する企業は適用対象外となる、(3)輸出用ノックダウン(KD)部品は対象外となる、といった問題が発生している。これらを知らずにJTEPAを利用している企業もかなりあるとみられ、この問題が広範囲に拡大する懸念もある。2回に分けて、問題点と現状を報告する。

<JTEPAの条文の解釈で3つの問題>
JTEPAの下、2012年4月に関税が撤廃された自動車部品115品目、2014年4月の同31品目の計146品目(注)について、その利用上の解釈をめぐり利用企業とタイ政府との間で食い違いが発生している。これらの品目は、JTEPA譲許表でカテゴリーP13に属し、関税撤廃条件が「AFTA(ASEAN自由貿易地域)完成」となっていたもの。また、JTEPA条文では表のとおり記載されていて、この文言の解釈でも問題が起きている。当該品目でJTEPA利用を希望する企業は、取引形態を含めて慎重に検討する必要がある。

タイ政府とで齟齬が発生している該当条文

JTEPAでこれら自動車部品の輸入関税減免を受けるには、日本で取得してきた「特定原産地証明書」に加えて、タイ工業省工業経済局(OIE)からの証明書の取得・提示が必要になる。現在、発生している問題は、(1)タイ国内仲介取引が認められない、(2)2次下請け(Tier2)より下部に位置する企業は適用対象外となる、(3)輸出用KD部品は対象外となる、の3つだ。

<「第三者が入る取引は認めない」と税関>
JTEPAを利用して日本から輸入した自動車部品を加工し、自動車組立企業(アッセンブラー)に納入するに際し、この取引の間に「第三者(企業)」が入る場合がある。例えば、特定規模以上の企業を中心に地域統括法人や販売法人で決済などを集中化しているため、自動車部品企業と自動車組立会社間の物流で商品は直接納入されるが、所有権移転などの商的流通(商流)では1社もしくは複数の企業が入る場合がある。

実際に税関の事後調査で、「第三者が入る取引は認められない」として、JTEPA適用が認められなかった事例があった。当初、OIEは税関と同様のスタンスだったが、現在までに「JTEPA利用企業が仲介企業との関係を明らかにするなど、あらかじめ取引概要を説明すれば、同取引を認める」として、口頭ベースではその姿勢を軟化させている。しかし、仲介取引を認める旨、記載した文書を出すことには消極的態度を示している。一方、税関は第三者が入る取引を認める方向で検討しているもようだが、税関事務所によっては見解が異なる可能性もある。OIEと税関には早急に統一見解を出すことが求められている。

<「1次下請け企業しかJTEPAは利用できない」とOIE>
JTEPAの関税減免を享受できる部品は、OIE通達によると、加工後に自動車組立企業に納品されるものが対象だ。OIE通達では証明書取得の際の提出資料に「自動車製造会社の当該部品・構成品の発注書、もしくは自動車製造会社に納入することが分かるその他の証拠」が必要とされている。そのためOIEの解釈では、JTEPAを利用できる企業は、自動車組立企業、もしくは1次下請け企業(Tier1)に限られる。1次下請け企業しかJTEPAを利用できないとする根拠は、JTEPA条文中の「自動車製造企業向けに出荷する(to be delivered to manufacturers of such motor vehicles)」との文言とみられる。実際に、大手自動車組立企業直轄の部品製造会社に納品する取引で申請した企業は「組立企業に直接納めていない」として関税減免を認められなかった。

1次下請け企業までが利用対象なら、特に中小企業などがJTEPA利用から排除され、「EPA利用上の平等」が損なわれることになる。そのため、日タイ両政府で、このJTEPA条文が1次下請け企業までの利用を意味するのかどうか、統一見解が求められている。仮に、1次下請け企業までに限定されるなら、複数の企業は「再交渉により協定条文の修正を求める」と話している。

(注)HS2012ベース。HS2007ベースでは100品目だった。

(助川成也)

(タイ・日本)

利用対象は「国内自動車組み立て用」とタイ側−JTEPAを利用した自動車部品輸入(2)−

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