病院サービス分野の外資規制が緩和

(マレーシア)

クアラルンプール事務所

2013年07月12日

政府は2012年から病院サービス分野の規制緩和を進めている。一方、医療機器については、販売、輸出入にライセンスが求められる医療機器法が2013年7月1日に施行され、規制が強化されている。

<外国の単独資本で診療所所有も>
2011年10月、ナジブ首相はサービス産業17業種の外国資本規制を2012年から段階的に撤廃すると発表した。17業種は主にプロフェッショナルサービスといわれる分野が中心で、私立病院、医療・歯科専門サービスの分野も対象となっている。

具体的には、医療専門サービスにおいて、マレーシア医療協会が認めた資格を有する外国人の医療専門従事者は、私立病院で勤務することが許可され、また診療所(マレーシアでは「クリニック」と呼ぶ)を外国資本100%で所有することができるようになった。また、歯科サービスについては、マレーシア歯科協会が認めた資格を有する外国人の歯科医師は私立病院と高等教育機関で勤務することが認められ、歯科診療所を外国資本100%で開業できることになった。

<医療機器の販売、輸出入にはライセンス必要>
病院サービスについては、外国資本規制が緩和される一方で、医療機器の販売および輸出入に関しては2013年7月1日に施行された医療機器法により、規制が強化されている。

医療機器法により、マレーシア国内での販売を目的として医療機器の輸出入および販売を行うには、法人ライセンスの取得が求められる(2012年7月3日記事参照)。ライセンスは、保健省医療機器局の傘下に新設された医療機器庁から取得する。法人とは、製造者、輸入者、販売者、輸出者を指す。同ライセンスを取得しないで販売すると違法となり、有罪が確定すると20万リンギ(約640万円、1リンギ=約32円)以下の罰金もしくは3年以下の懲役またはその併科となる。

法人ライセンスに加え、これまでは自主登録制となっていた医療機器の登録も義務付けられている。登録義務の対象となるのは、輸入・輸出または国内で販売される医療機器だ。マレーシアは「アジア・ハーモナイゼーション・ワーキング・パーティー」(AHWP)の構成メンバーだ。AHWPはアジアを中心に太平洋、中東地域の23ヵ国・地域の保健当局関係者が参加する非営利組織で、アジアおよびその他の地域における医療機器関連規制の整合化を図り、また医療機器規制国際整合化会議(GHTF)やAPECその他の関連する国際機関と整合性のある要求事項、手続き、そして規格を構築する目的で協力することを目標にしている。AHWPの下、マレーシアは大筋で、国際的な整合性の取れた医療機器規制を導入する方向に動いているとみられる。マレーシアでは欧州の基準適合マーク(CEマーキング)と同様に、医療機器は使用の目的や期間、体を傷つけるかどうかなどに基づき、リスクの低い順にA〜Dの4クラスに分類されている。

また、登録された医療機器を輸出するには許可を受けることが求められる。輸出許可に関する要件に従わずに輸出すれば違法となり、有罪が確定すると5万リンギ以下の罰金もしく6ヵ月以下の懲役またはその併科となる。

(手島恵美)

(マレーシア)

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