パナマ・カナダFTAが4月1日に発効

(カナダ、パナマ)

メキシコ事務所

2013年04月15日

パナマ・カナダ自由貿易協定(FTA)が4月1日、発効した。カナダはパナマ原産品に対し、タリフライン(関税品目数)の97.2%について関税を即時撤廃する。同様に、パナマは73.3%の関税を即時撤廃する。

<関税の即時撤廃はカナダが97%、パナマが73%>
パナマとカナダは2008年5月にFTA交渉を開始。以後、4度の交渉を経て2010年5月14日に協定書に署名していた。カナダはパナマ原産品について、タリフラインの97.2%の関税を即時撤廃し、0.1%について3年、1.0%について5年、0.1%について15年かけて撤廃する。全体の1.6%は、自由化の除外品目としている。

パナマはカナダ原産品について、タリフラインの73.3%を即時撤廃し、残る大半の品目の関税を最大19年かけて撤廃する。除外品目は1.29%で、鶏肉、牛乳、生鮮ジャガイモ、エシャロット、コメ、インスタントコーヒー、豚肉を使用したソーセージとなっている。なお、原産地証明書は政府が発行するのではなく、輸出者による自己証明方式が採用されている。

FTAの発効以前から、カナダはパナマ原産品に対して特恵関税(GSP)を供与していたため、パナマにとって本協定による関税削減効果は大きくはない。しかし、GSPの対象から除外されて関税削減の恩典を失うリスクを、FTAにより担保できるという意義がある。

<鉱業を中心に結び付く両国経済>
パナマ会計検査院によると、2011年の対カナダ輸出額は1億2,100万ドルで、全輸出額の15.4%を占めた(表参照)。同じく輸入額は8,630万ドルで、全輸入額の0.8%を占める。主要な輸出品目は、金、銀、乾燥した魚、コーヒー、木材、皮革、パパイヤなど。一方、主要な輸入品目は、航空機部品、貨幣、レーダー、ヒラマメ、新聞用紙、食用のくず肉、ゴムまたはプラスチック加工用押出成型機およびその部分品など。主要輸出産品である金の国際価格上昇を背景に、2009年まで赤字だった対カナダ貿易収支は2010年になって1,288万ドルの黒字になり、2011年も3,473万ドルの黒字となった。なお、主要な輸入品目の1つに貨幣があるが、これは、パナマで流通するバルボア硬貨の鋳造をカナダの王立造幣局(Royal Canadian Mint)に発注した実績があるためだ。

パナマの対カナダ貿易額の推移

2011年のカナダからの直接投資額は4億4,615万ドルで、外国直接投資額全体の1.9%にとどまるが、コブレ・パナマ銅プロジェクトを有するインメット・マイニング(Inmet Mining)、モレホン金鉱山を有するペタキージャ(Petaquilla)、セロ・ケマ金プロジェクトを有するパーシムコ・リソーシズ(Pershimco Resources)など、カナダ企業のパナマの鉱業における存在感は大きい。同じくカナダのファースト・クアンタム・ミネラルズ(First Quantum Minerals)は4月2日、インメット・マイニング(Inmet Mining)の発行済み株式の92.74%を取得したと発表した。

(西澤裕介)

(パナマ・カナダ)

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