外資の企業登録手続きを緩和−登録申請のNOCの提出が不要に−

(パキスタン)

カラチ事務所

2013年03月26日

パキスタン証券取引委員会(SECP)は3月12日、国内に進出する外国法人が法人設立に際し、内務省の異議なし証明書(No Objection Certificate:NOC)を不要にすると発表した。これまで内務省は人物調査を実施し、問題がなかった場合にNOCを発行していた。今後は、人物調査については、SECPと内務省の間で確認する。政府の狙いは、ここ数年減少している海外からの民間部門の直接投資を増やすことだ。

<外資の呼び込みが狙い>
パキスタンでは法人を設立する際、SECPに登録が必要で、外国企業が出資したり、外国人の役員を派遣したりする場合は、内務省が発行するNOCも必要だった。NOCは、内務省が人物調査(セキュリティークリアランス)を実施し、問題がないことが判明した場合に発行される。これまで、NOCの取得には3〜6ヵ月ほどかかっていた。特に、米国やインド資本の企業では、NOCの取得が通常よりもさらに時間がかかるか、場合によっては取得そのものが大変難しいとみられていた。

SECPのプレスリリースによると、今後は登録申請時のNOCの提出は不要とし、SECPが外国からの出資や外国人の役員が在籍する企業に対し、登録証明(Certificate of Registration:COR)を発行する。外資系企業などの登録申請を受け、SECPは内務省と連携し、設立される企業および派遣される外国人の人物調査などを実施する。SECPは、受け付けた法人の設立、役員の就任を拒否する権利を有する。既存のパキスタン法人に外国人の役員が就任する場合も、この措置が適用される。SECPは今後、人物調査の実施を免除する国を指定することも検討する。

政府は、NOCの取得手続きが投資を阻害する要因として考えており、今回の措置を通じて、近年減少傾向にある海外直接投資を呼び込みたい考えだ。その背景には、今後拡大する労働人口に見合った雇用の創出を図らなければならないことがある。

中央銀行によると、パキスタンに対する外国直接投資は2001年以降、2007/08年度の54億1,020万ドルをピークに減少している。2011/12年度は8億2,060万ドルまで減少、2012/13年度の7〜2月でも前年同期比9.7%減の5億5,850万ドルと減少に歯止めがかかっていない。

<手続きは簡素化するも手数料は増加>
政府は外国投資の呼び込みを図る一方で、外資企業の登録時の手数料徴収を強化しており、外資企業の負担は増えている。パキスタン投資庁(BOI)は、BOI法に基づき、2011年8月25日付通知〔No.104(8)2011−IF〕で、支店の開設時に3,000ドル、駐在員事務所には2,000ドル、以降、更新手数料として支店は1年当たり1,000ドル、駐在員事務所は同500ドルの手数料の徴収を開始した。さらに、2012年4月19日付通知〔No.109(35)/2007−IFSC〕で、外資系企業の登録手続き手数料として1,000ドルの徴収を開始している。

(白石薫)

(パキスタン)

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