国連安保理、北朝鮮の核実験に対する決議採択−一段と厳しい内容、北朝鮮の自制促す−

(北朝鮮)

中国北アジア課

2013年03月19日

北朝鮮が3回目の核実験を2月12日に強行したことを受けて、国連安全保障理事会(以下、安保理)は3月7日に緊急会合を開き、北朝鮮に対する制裁を一段と強化する決議案を採択し、加盟各国には制裁の実効が上がるように協力を求めるとともに、北朝鮮には自制を求めた。

<核実験に伴う制裁決議は3回目>
安保理が過去に北朝鮮に対して行った決議としては、北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)からの脱退宣言を行ったときに、その宣言の見直しを求めた1993年5月の決議第825号や、北朝鮮が2006年7月にミサイル発射実験を行った後の決議第1695号などがあるが、北朝鮮の核実験に対して行われた安保理決議としては、2006年10月14日の決議第1718号、2009年6月12日の第1874号があり、今回は3度目の決議(第2094号)となる。

初めての核実験の後に決議された第1718号では、2006年10月9日に行った核実験を非難するとともに、核実験やミサイル発射の中止を要求し、国連憲章第7章第41条に基づく経済制裁(臨検の実施、ぜいたく品の禁輸など)を実施することを決定した。また、戦車、装甲用戦闘車両、大口径火砲システム、戦闘機、攻撃用ヘリコプター、軍用艦艇、ミサイルまたはミサイル部品などの特定兵器の禁輸を決定し、併せてNPTと国際原子力機関(IAEA)の保障措置への復帰、6ヵ国協議への無条件復帰を北朝鮮に要求した。

2009年5月25日に行われた2回目の核実験を受けて、2009年6月12日に安保理決議第1874号が採択された。この決議では、北朝鮮が行った核実験を最も強い表現で非難するとともに、いかなる核実験または弾道ミサイルの発射実験も実施しないことを要求した。また、決議第1718号の8(b)に記載された経済制裁措置は物品の輸出入にとどまらず、金融取引、技術訓練、助言、サービス、援助にも適用するとしたことで、制裁の対象範囲が拡大された。

さらに船舶検査権限を加盟国に付与し、検査への協力を要請したり、金融面では、加盟国にいかなる金融、その他の財産、または資産の移転を防止することを要請したり、人道などの目的以外の北朝鮮に対する新規の無償援助、資金援助、緩和された条件による貸し付けを禁止したりした。

<加盟国に4項目の義務付けや要請>
今回の安保理決議第2094号はこれまでの2回に比較し、一層踏み込んだものとなった。まず各加盟国に義務付けたり、要請したりしたものとしては次の事項がある。

(1)核や弾道ミサイル開発に結び付く可能性があると判断された場合には、現金を含む金融資産の移動や金融サービスの提供の禁止を義務付け。
(2)禁輸物資を積んでいると疑われる船舶の貨物検査を義務付け。
(3)禁輸物資を積み込んだ疑いのある航空機の離発着と領空通過を認めないよう要請。
(4)北朝鮮外交官が核や弾道ミサイル開発に関与することを防止するため、北朝鮮外交官への監視を強めるよう要請。

また、北朝鮮に対しては、資産凍結と渡航禁止の対象として3個人、2団体を追加した。さらに、北朝鮮が再び核実験やミサイル発射、軍事挑発などを行った場合、国連は「重大な措置をとる」と警告するとともに、NPTの脱退宣言を即時撤回するよう求めている。

国連決議に先立ってEUは2月18日に外相理事会を開催し、北朝鮮に対する制裁措置を強化することを決定した(2013年2月25日記事参照)。これによると、北朝鮮が関与する通常兵器の貿易制限や特定のアルミニウムのように弾道ミサイルの主原料となるものの輸入禁止や金融制裁が含まれている。

また、米国は国連制裁とは別に北朝鮮の資金源を絶つための独自の制裁を検討しているといわれる。

(根本光幸)

(北朝鮮)

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