乗用車の販売台数は5年連続して減少−主要国の自動車生産・販売動向(2012年)−
ブカレスト事務所
2013年03月19日
2012年の国内の新車自動車の販売台数(商用車含む)は前年比20.9%減の8万7,505台で、うち乗用車は23.7%減の7万2,179台と、5年連続の減少となった。日本車は18.7%減の8,324台だった。一方で、生産台数および輸出台数は、フォードによる小型車「Bマックス」の生産開始が寄与し、それぞれ0.8%増、8.5%増となった。
<自動車市場支援策の効果なし>
自動車の新車販売台数は2008年以降減少が続いている(表1参照)。自動車製造業者・輸入業者協会(APIA)は、要因として、新車買い換え制度(ラブラ・プログラム)の開始時期および補助金(クーポン)の交付時期の遅れ、続く信用収縮などを挙げている。政府は、排出ガスの発生量に応じて支払う自動車税額の25%引き下げと、2007年より前に登録された自動車も課税対象とする制度施行の1年延長により、自動車市場の回復を図ったが、販売台数の増加には結び付かなかった。
乗用車の販売シェアは、ルノー傘下の国産車「ダチア」が27.6%(前年比29.6%減の1万9,948台)で1位を維持した。次いで、フォルクスワーゲン(VW)が11.1%(19.9%減の8,046台)、シュコダが8.7%(23.8%減の6,291台)だった(表2参照)。
ブランド別でみると、「ダチア・ロガン」の販売台数が9,780台でトップ、次いで「ダチア・ダスター」(5,346台)、「シュコダ・オクタビア」(3,350台)、「ルノー・クリオ」(2,478台)、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」が(1,986台)と続く。
<日本高級車の販売台数は増加>
日本車の販売台数は18.7%減の8,324台で、うち乗用車は19.3%減の7,517台だった(表3参照)。前年より増加したのはレクサス、インフィニティ、いすゞ(商用車のみ)の3ブランドのみ。
<フォード「Bマックス」が生産回復に寄与>
自動車生産台数は0.8%増の33万7,765台で、うち乗用車は5.3%増の32万6,556台だった。ダチアの生産台数は約30万台で、前年の約33万台から減少したものの、フォードによる小型車「Bマックス」の生産開始が生産台数押し上げに寄与したようだ(「ジアルル・フィナンチアル」紙2月4日)。
自動車輸出台数は8.5%増の33万942台で、うち乗用車は13.7%増の32万833台だった。
<新モデルの生産開始相次ぐ>
ダチアは、2012年下半期に従来のモデルの「ロガン・バン」「ロガン・ピックアップ」の生産を停止し、「ロガン2」「サンデロ2」および「サンデロ・ステップウェイ」の生産に入った。ロガンおよびサンデロには、「ルノー・クリオ」および「ルノー・トゥインゴ」に搭載されているエンジンが使われており、2013年からダチア・ミオベニ工場でも同エンジンの生産が開始される予定だ。
ルノー・日産は2012年2月、モロッコ・タンジェールに生産工場を建設し、ダチア・ブランドの「ドッカー」「ドッカー・バン」「ロジー」の生産を開始した。一部の部品はダチア・ミオベニ工場から供給されている。
フォードは2012年6月、クライオバ工場においてBマックスの生産を開始、同年9月に日産50台から500台に引き上げたが、欧州市場の冷え込みにより、11月末に月産250台への減産を余儀なくされた。2012年当初、フォード・ルーマニアのジャン・ギジセン社長は「12年のBマックス生産台数を約5万台」と予測していたが(アジェルプレス2012年1月25日)、生産台数は3万台弱と大幅に下回る結果となった。
また、同社クライオバ工場では、2012年5月から排気量1000ccの環境エンジン「エコブースト」の量産体制に入っている。2013年には、排気量1500ccのエコブーストの生産開始も控えている。
(上田恵子)
(ルーマニア)
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