基礎生活用品に対する減税を発表−インフレ率上昇の抑制策−

(ブラジル)

サンパウロ事務所

2013年03月18日

2011年8月から断続的に行われた政策金利の引き下げなど、低迷する経済に対するてこ入れが行われてきたが、2012年後半からインフレへの警戒感が高まり、2013年2月の拡大消費者物価指数(IPCA)の上昇率は前年同月比6.31%とインフレターゲットの上限である6.50%に近づいてきた。政府は基礎生活用品への減税などの対策を講じている。

<9%程度の恒久減免に>
政府は3月8日、食料品などの基礎生活用品パッケージ(Cesta basica)に対し、社会負担金であるPIS/Cofinsを減税すると発表した。同月11日に行われたマンテガ財務相の共同記者会見によると、今回の減税は恒久減税とされており、その額は2013年で55億レアル(1レアル=約49円)、2014年で74億レアルに達すると述べた。なお、PIS/Cofinsは商品によって税率が異なるが、多くの商品で9%程度の減税になるとみられる。

このような減税策を導入した背景には、基礎生活用品パッケージも含めて、インフレ率の高まりが政府内でも懸念材料になり始めたことにある。IPCAは2011年後半から下降線をたどり、2012年6月には4.92%まで下がった。その後漸増傾向にある中、2013年1月には6.15%と6%を超えた(図参照)。特に基礎生活用品パッケージのインフレ率は年率10%以上とされ、低所得者層に影響を与えていた。

拡大消費者物価指数(IPCA)上昇率の推移(前年同月比)

マンテガ財務相は、今回の減税策がインフレ率に与える影響について、一部民間調査会社が予測するような0.2〜0.6%程度の引き下げ効果になるとの見通しを共有している。

また、産業競争力強化の一環として導入された電気料金引き下げも、間接的にはインフレ率の引き下げに資するとみられている。1月24日から導入されたが、既に2月のIPCAにその影響が反映されているとの指摘も出ている。

<政策金利を引き上げるとの見通しも>
このほかにも政策金利の引き上げによるインフレ抑制の可能性について、政府は考慮しているとされる。3月6日に中央銀行は第173回金融政策審議会(Copom)を開催し、全会一致で政策金利(Selic)の誘導目標を7.25%に据え置いた。3会合連続の据え置きとなったが、4月に開催される次回会合では引き上げの可能性が指摘されている。政府は、今後のインフレ率の行方を見守っての判断になるとの見通しを述べているが、民間エコノミストの予測を取りまとめた中銀の週報「フォーカス」(3月8日)では、2013年末の政策金利の見通しを8.00%としている。

(紀井寿雄)

(ブラジル)

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