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小売業などの参入条件を列挙−新外国投資法の施行細則を公表(2)−

(ミャンマー)

ヤンゴン事務所

2013年02月18日

連載の後編は、ミャンマー投資委員会(MIC)が発表した新外国投資法の細則のうち、投資認可に当たって、事業の所管省による意見書や連邦政府の承認などが求められる115分野、特定の条件下でのみ参入可能な27分野、環境アセスメント(EIA)が認可の条件となる34分野について解説する。注目されていた小売業については、2つ目の27分野に該当し、立地場所、規模などの条件付きながら、100%の外国投資も認められた。ただし小売業に限らないが、不明確な部分も多く、実際に投資を検討する場合は詳細を確認しながら進める必要がある。

<13省所管の事業に特別な認可条件>
MICが2013年1月31日に発表した通達No.1/2013(以下、MIC通達)では、農業灌漑省など13省所管の115分野の事業を認可するに当たり、当該所管省の意見書や連邦政府の承認を得ることなどを条件にしている。また事業分野によっては、例えば畜水産省所管の蜂蜜製品の製造ではGMP〔Good Manufacturing Practice(適正製造基準)〕や政府の指令に従うことが条件となっていたり、電力省所管の水力・石炭火力発電所による発電と売電の事業は連邦政府の承認に加え、政府とのBOT方式(民間企業による建設・運営後に政府に移管する方式)による合弁(JV)形態のみが認可条件となっていたりする。従来も、投資認可手続きの過程で実際に所管省の推薦書などを求められることもあったため、今回の通達である程度、その点が手続きの上で明示的になったといえる。ただし、所管省の意見書を求めているのは、所管省に裁量権があり、所管省に判断が委ねられることも意味しており、不透明な部分も残る。所管省と当該事業分野数は次のとおり。

○関係省の意見書や連邦政府の承認などが求められる115分野
(1)農業灌漑省:種の生産・販売、化学肥料工場建設・製造など7分野
(2)畜水産省:養蜂・蜂蜜製品製造、魚網製造など5分野
(3)環境保護・森林省:国立公園造成、木材加工産業・関連サービスなど18分野
(4)鉱山省:鉱物の探索、試掘のためのフィジビリティー・スタディー、大規模鉱物資源開発など5分野
(5)工業省:野菜・動物などから採った油(液体・固形)の生産・販売など10分野
(6)電力省:水力・石炭火力発電所による発電と売電の事業(1分野)
(7)運輸省:空港建設・乗客ラウンジ・サービス提供、航空機整備サービスなど23分野
(8)通信・情報技術省:国内・国際郵便サービス、通信ネットワーク・サービス(2分野)
(9)エネルギー省:石油および石油製品の輸入・販売など5分野
(10)保健省:私立病院・専門医院など12分野
(11)建設省:オフィス/商業ビルの建設・賃貸、建築設計など6分野
(12)ホテル観光省:国際観光、スパ、外国人対象のカジノ(3分野)
(13)情報省:外国語による定期新聞、社会科学関連書籍の出版など18分野

<外国企業も条件付きで小売業参入が可能に>
認可に当たって、特定の条件が示されている事業が27分野挙げられている。先の115分野の中にも特定の条件を示している事業もあるので、それぞれの区分は明確ではない。この27分野の中にも、さまざまな業種が含まれるが、小売業の記述が注目される。小売業については、以下のリストで(19)、(20)、(21)、(25)、(26)の分野が関係してくるとみられ、基本的に条件を満たせば外国企業100%出資も認められると理解される。例えば、「小規模(定義は不明)」なものは認められないが、「ミャンマー企業による既存店舗から近接した場所」には開店しないことや「国産の商品を優先的に購入し販売すること」(19)などだ。また、(20)には「2015年以降」に「300万ドル以上」の小売業が認められると読める。ただし、それぞれの条件はあいまいな部分が残っており、かつ複数の記載に分かれているため、扱う商材、立地場所など案件ごとに投資窓口となる投資企業管理局に確認する必要がある。

また従来、外国企業には商業(trading)での会社設立が認められず、小売・卸売業への参入や貿易業に従事することが運用上認められていなかった。今回の通達では、小売り・卸売業は条件を満たせば外国企業でも認められると読めるが、貿易業については政府関係部局に確認しても、現時点で見解は不明だ(つまり小売店を持っても、自分で商品を輸入できるのか、ミャンマー企業が輸入したものを購入しなければならないのか、確認できない)。

○特定の条件下でのみ参入可能な27分野
(1)水牛、牛などの家畜飼育〔GAHP(Good Animal Husbandary Practice、適正な家畜飼養の基準)およびGMPにのっとること〕
(2)羊、ヤギ、鶏、豚などの家畜飼育(同上)
(3)動物飼料などの製造および販売(GMPに従い管理できること)
(4)家畜の病気予防や治療薬の製造(動物ワクチン、治療薬向けGMPのASEANガイドラインにのっとること)
(5)酪農業(GAHPにのっとること)
(6)牛乳および酪農製品の製造(乳加工施設のASEAN認証基準にのっとること)
(7)食肉処理場〔GMPに従いHACCP(Hazard Analysis Critical Control Point、衛生管理手法)にのっとること〕
(8)食肉加工(ASEAN認証基準にのっとった加工場で、密閉封鎖されたコンテナの食肉を使用すること)
(9)牧畜場用設備の製造(GMPにのっとること)
(10)養鶏場(商業養鶏場用のバイオセキュリティー管理マニュアルに従い、GAHPおよびGMPにのっとること)
(11)肉牛生産(GAHPにのっとること)
(12)淡水および海水のエビ養殖(環境を害さない手法にのっとること)
(13)石炭の探査、採掘(国家とのJVの下、執り行う)
(14)伝統的な家庭薬以外の薬の製造(最低限、WHO基準、GMPにのっとること)
(15)ワクチン、睡眠薬、向精神薬以外の薬の製造および販売(最低限、WHO基準、GMPにのっとること)
(16)法律により認められた建物の建設および修復(ASEAN相互承認枠組み協定の規範と基準にのっとること。ミャンマー国家建築基準にのっとること)
(17)ホテル(三ツ星以上のホテルのみ100%外資を認める。他はJV)
(18)海外から必要な原材料を輸入し農産物を生産すること、また、それらの国内での販売および輸出(高付加価値商品の生産のみ認める。JVの場合はミャンマー企業側が最低40%の出資をすること)
(19)小売り(小規模小売りの形態には参入できない。スーパーマーケット、百貨店、ショッピングセンターの形態は認められる。ただし、ミャンマー企業による既存店舗から近接した場所では開店できない。国産の商品を優先的に購入し販売すること。JVの場合はミャンマー企業側が最低40%を出資すること)
(20)自動車、オートバイを除く小売り(2015年以降のみ認める。最低300万ドル以上の投資とすること。免税措置なし)
(21)フランチャイズ(外国企業はフランチャイザーとしてのみ認められる)
(22)倉庫(中小規模の倉庫業は認められない。JVの場合はミャンマー企業側が最低40%を出資すること)
(23)卸売り(商業省の見解に従う)
(24)代行業務サービス(事務所スペースは賃貸だけでなく、自社ビルを建設できる。ミャンマー国民をスタッフとして採用すること)
(25)専門店以外の小売り〔百貨店とハイパーマートは5万平方フィート(1平方フィート=約0.09平方メートル〕以上、スーパーマーケットは1万2,000平方フィートから2万平方フィートの店舗面積を有すること〕
(26)専門店以外での食品、飲料(アルコールを含む)、ミャンマーたばこなどの小売り(店舗面積:2,000平方フィートから4,000平方フィートまで)
(27)外国語の各種雑誌(JVの場合はミャンマー企業側が最低51%の出資をすること。3分の2以上の取締役、主要なスタッフはミャンマー人でなければならない。100%外資による出資の場合は、そのオーナーは外国出版社か印刷会社を所有していなければならない)

<環境アセスメントが必要なものも>
残る34分野については環境アセスメントが必要なものとして列挙されている。環境や社会に与える影響を避けること、あるいは最小限にすることが求められる。

○環境アセスメントが認可の条件となる34分野(環境保護・林業省所管)
(1)採鉱
(2)石油、天然ガスの採掘
(3)大規模ダムや灌漑施設の建設
(4)水力およびその他の大規模発電事業
(5)石油・天然ガスパイプラインの敷設、および、送電塔の建設
(6)大規模農園
(7)大規模橋・高架道路・高速道路・地下鉄・港湾設備・空港などの建設、および用水路・大規模乗用車や造船の製造
(8)化学品および殺虫剤の製造
(9)バッテリーの製造
(10)大規模製紙用パルプ工場
(11)大規模な綿製の織物用糸、織物、染色の製造
(12)鉄、鉄鋼、その他鉄鋼製品の製造
(13)セメント製造
(14)蒸留酒、ビールなどの製造
(15)石油、その他燃料油、化学肥料、ろう、ワニスなどを含む石油化学工場
(16)製糖工場を含む大規模な食品加工工場
(17)皮革製品、ゴム製品の製造
(18)大規模な海水・淡水魚およびエビ養殖、大規模な畜産飼育
(19)大規模木材製造
(20)大規模住宅建設
(21)大規模ホテルおよびリゾート施設の建設
(22)歴史、文化、考古学、化学、地理学に関連する記念施設の運営
(23)浅水域での事業
(24)生態系の影響を受けやすい地域での事業
(25)国立公園、自然林保護地域での事業
(26)生存危機にひんしている動植物に関する事業
(27)自然災害のリスクが高い地域での事業
(28)一般向け飲料用水に利用される川、池、貯水池から至近距離での事業
(29)レクリエーション地域、真珠養殖場から至近距離での事業
(30)広大な農地を必要とする農作物の栽培および生産
(31)大規模森林プランテーション
(32)大規模木材産業
(33)大規模発電事業
(34)送電線建設

(水谷俊博、小島英太郎)

(ミャンマー)

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