2012年通年の貿易収支、大幅赤字に転落

(オーストラリア)

シドニー事務所

2013年02月12日

オーストラリア統計局(ABS)は2月5日、2012年12月の貿易統計を発表した。財とサービスを合わせた貿易収支(季節調整値)は4億2,700万オーストラリア・ドル(豪ドル、1豪ドル=約96円)の赤字となった。2012年通年の貿易収支は167億9,200万豪ドルの赤字で、過去最高の貿易黒字だった前年から一転して、大幅な赤字となった。

<2012年12月の貿易赤字は大幅に改善>
2012年12月の財とサービスを合わせた輸出は、前月比2.6%増の253億8,100万豪ドル、輸入は6.2%減の258億800万豪ドルだった(表1参照)。貿易収支は4億2,700万豪ドルの赤字となったが、赤字額は前月と比べて84.7%減と大幅に改善された。なお、貿易収支は2012年に入って12ヵ月連続の赤字となった。

表1財・サービスの輸出入

市場が事前に予測した12月の貿易収支は8億豪ドルの赤字だった。赤字額の大幅な改善を受け、豪ドルの為替レートはいったん上昇した。しかし、2月5日午後になってオーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利を据え置き、RBA総裁の声明文が今後政策緩和の余地があるといった内容だったため、為替相場は急落した。RBAが発表した同日の為替レートは、前日の1豪ドル=1.0428米ドルから1.0400米ドルに下落した。

<資源の輸出が伸びて、輸入は減少>
2012年12月の財の貿易は、輸出が前月比3.6%増の210億6,700万豪ドル、輸入が7.5%減の202億6,300万豪ドルで、収支は6ヵ月ぶりに黒字となった。

財の輸出を品目別にみると、非農産品が前月比6.6%増となる一方、農産品は1.5%減だった(表2参照)。

表2品目別財輸出

輸出額1位の鉄鉱石・鉱物は前月比11.9%増の70億2,200万豪ドルで、2012年5月以来7ヵ月ぶりに70億豪ドルを超えたが、前年同月比では2.5%減となっている。このうち鉄鉱石は、粉状の輸出量が前月比23%増、輸出額は27%増。金額では特に中国向けが26%増となり、韓国向けも52%増加した(いずれも原数値)。

輸出額2位の石炭は、前月比4.7%増だが、前年同月比では26.0%減となった。うち原料炭は、輸出量が前月比8%増、輸出額も10%増だった。金額ではインド向けが97%増、日本向けが37%増となっている。また、一般炭の輸出額は19%増で、日本向けが28%増、中国向けは27%増えた(いずれも原数値)。

財の輸入を品目別にみると、資本財が前月比18.8%減となった(表3参照)。投資計画の見直しが発表されている資源・エネルギー分野に関係の深い工業輸送機器が34.8%減と大幅に落ち込み、中間財のうち資本財関連部品も12.3%減だった。また、消費財も1.6%減となったが、販売が好調な自動車については1.0%増と3ヵ月連続で増加した。

表3品目別財輸入

<通年では黒字から一転し、赤字額ワースト5に>
2012年の財とサービスを合わせた貿易収支は167億9,200万豪ドルの赤字で、過去最高の黒字となった前年から一転して、過去5番目の大幅赤字となった(表4参照)。

2012年通年の財の輸出は、前年比5.1%減の2,492億1,800万豪ドル、輸入は7.7%増の2,532億400万豪ドル、収支は39億8,600万豪ドルの赤字だった。一方のサービスは、受け取りが2.7%増の516億4,900万豪ドル、支払いは9.3%増の644億5,600万豪ドルで、収支は128億700万豪ドルの赤字となった。

表42012年の輸出入

2012年の貿易収支が赤字となった要因としては、資源価格の下落により、財の輸出額で1位の鉄鉱石・鉱物が95億9,800万豪ドル減(前年比11.1%減)、2位の石炭が50億4,200万豪ドル減(10.8%減)となったことが大きく、双方を合わせた額(146億4,000万豪ドル)は、財全体の減少額(134億4,100万豪ドル)を上回っている。

財の主要国・地域別貿易実績(原数値)をみると、主要各国・地域への輸出が減少する中、輸出先1位の中国は輸出額を伸ばしてシェアを拡大した(表5参照)。また、輸入額では、韓国が重機を大幅に伸ばして、順位を前年の9位から7位に上げた。

表52012年の主要国・地域別財の輸出入

(込山誠一郎)

(オーストラリア)

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