2012年の最低賃金改定、マニラ首都圏は7.04%上昇−生産性賃金制度を導入へ−

(フィリピン)

マニラ事務所

2013年01月16日

2012年の最低賃金法改定の注目点は、「生産性賃金制度」を新たに取り入れたことだ。しかし、雇用労働省から施行細則の公布は遅れている。改定状況をみると、マニラ首都圏は7.04%の上昇だった。

<改定の実施時期は地域でばらつき>
従来は毎年メーデーの5月1日前後に集中して最低賃金の改定が実施されていたが、近年は地域ごとの実施時期にばらつきが生じている。最新の改定状況は表のとおりで、リージョン4のうちの南部タガログBについては、2010年の改定を最後に2年間改定されていない。雇用労働省副大臣のチャト弁護士によると、投資誘致を目的とした据え置きだという。

地域別最低賃金改定状況

<生産性賃金の導入は企業の任意に>
改定された最低賃金法には「生産性賃金制度(Productivity Based Pay)」に関する定義が、以下のとおり盛り込まれている。

(1)従業員の生産性・業務内容および生活コスト、企業の業績・財務状況などを勘案して調整されるものとする。
(2)別途ガイドラインに従い調整しなければならない。
(3)ただし、生産性賃金の導入は企業の任意とする。

生産性賃金制度を導入する企業に対しては、最低賃金法発効日から3ヵ月以内に「生産性向上・インセンティブ委員会」を企業内に設置することを義務付けている。委員会の構成について、従業員側と雇用主側が同数であることを定めており、その委員会において、生産性賃金の詳細を議論・決定することとしている。しかし、雇用労働省からガイドラインがまだ未発表で、2013年1月8日時点では、最低賃金法の細則は施行されていない。

(辻一郎)

(フィリピン)

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