輸出は堅調に推移も内需は低迷−2013年の経済見通し−
プラハ事務所
2013年01月09日
財務省は2012年10月に発表した経済予測の中で、2013年の実質GDP成長率を0.7%(2012年7月予測1.0%)と下方修正した。2013年は引き続き欧州債務危機の行方に大きく影響されると予想される。
<下方修正し0.7%の成長見込む>
2012年の実質GDP成長率は、欧州債務危機の長期化により第1四半期から第4四半期まで、前期比、前年同期比ともに4期連続のマイナス成長になるとみられる。経済の牽引役である輸出は堅調に推移(前年比4.3%増)しているが、政府消費支出(1.1%減)や個人消費の減少(3.0%減)を補い切れなかった。
2013年は輸出が前年比3.5%増と、2012年より伸びがやや鈍化する見込み。他方で、個人消費の落ち込みは2012年より抑えられ0.5%減、総固定資本形成は2012年4.1%減から0.9%増にわずかながら好転するとみられ、実質GDP成長率は0.7%のプラス成長となると財務省は予測している(2012年10月発表)。7月発表では1.0%としていたので、0.3ポイント下方修正したことになる。
<緊縮効果で財政赤字の対GDP比は改善>
失業率は景気低迷の長期化に備え企業が新規雇用を手控えていることもあり、2012年は6.9%(2011年は6.7%)と高止まりしている。失業率の高止まりは賃金上昇率にも表れており、2012年は2.4%と消費者物価指数上昇率の3.3%より低い伸びにとどまった。賃金上昇率は2013年も2.5%の低い伸びにとどまる見込み。
欧州債務危機で注目を集める財政赤字のGDP比は、緊縮財政の継続により2012年の3.2%から、2013年には2.9%と、ユーロ導入条件の1つである「財政赤字の対GDP比3%以下」を達成できる見通しだ。なお、政府はユーロ導入時期について具体的な言及を避けている。
政府は欧州債務危機による影響を最小限に抑え込み、経済成長を達成するため、引き続き外国直接投資の受け入れを積極的に行うと同時に、新興国への輸出を拡大すべく通貨コルナの動向を注視していくものと思われる。
国立銀行(CNB、中央銀行)は、景気悪化を食い止めるため、2012年11月2日から政策金利をチェコ史上最低の0.05%に設定している。
(佐野浩)
(チェコ)
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