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中古車の輸入規制を強化、車齢5年から3年へ

(パキスタン)

カラチ事務所

2012年12月28日

政府は12月12日、中古車の輸入に関する政令(SRO)を発令し、中古車の輸入規制を強化した。これまで、新規登録後5年まで(車齢5年)の中古車の輸入が認められていたが、3年までに改められる。

<国内自動車価格の上昇により2011年に輸入条件を緩和>
商業省は12月12日、政令(SRO)1441号を発令し、個人貨物、転居、贈与制度における中古車の輸入条件を、これまでの新車登録後5年以内から3年以内に変更した。これにより、新車登録後3年を超えた中古車の輸入は禁じられるため、中古車の輸入規制が強化されたことになる。本措置は12月15日から実施済み。パキスタンでは法律上、中古車の商業輸入は禁止されているが、在外パキスタン人の帰国時の持ち帰り、在外パキスタン人のパキスタン人への贈与などに限り、中古車の輸入が認められており、これが実質的に商業輸入に使われている。

政府は2011年2月、個人貨物、転居、贈与制度における中古車の輸入条件を緩和した(2011年2月8日付SRO90)。この背景には、パキスタンの自動車市場が少数のメーカーによる寡占状態にあり、国内の自動車価格が上昇しているという政府の主張がある。これに対し、パキスタンに進出している自動車メーカーは、自動車価格の上昇が原油などの国際価格の上昇などによるもののほか、特に最近はルピーの対ドル、対円レートの下落によると主張していた。また、中古車の輸入規制の緩和は国内の自動車生産の減少をもたらし、自動車産業界に携わる人々の雇用の減少につながり、さらには雇用の減少が国内の消費減退や所得税などの減少につながる点で、政府の財政収支の改善のみならず、パキスタン全体の発展を阻害すると、中古車輸入の規制強化を求めていた。

<中古車輸入業者は輸入規制強化に反対>
中古車を販売する業者の集まりである全パキスタン自動車ディーラー協会のシャザード会長は「自動車アセンブラーを喜ばせる代償として、財政収入(関税収入)の損失を選択した」(「ビジネスレコーダー」紙12月13日)と、今回の中古車輸入の規制強化を批判した。同協会は、a.2012年7月から11月にかけて、2万6,000台の中古車の輸入を通じて160億ルピー(1ルピー=約0.88円)の関税などの収入を得ている、b.トヨタ製「カローラ」(1300cc Xli)が160万ルピーで販売されている一方で、輸入されたトヨタ製「カローラ」(1500cc XCO)は関税込み140万ルピーで提供している、などと国の財政面への貢献と消費者に価格の安い車を提供していることを強調している。

国家歳入庁(FBR)の見通しによると、2013年1月〜6月に、中古車輸入規制の強化によって関税収入が82億ルピー減少する。FBRは、車齢3年までに限られていた2010/11年度(10年7月〜11年6月)の中古車輸入に対する関税収入は41億ルピーで、規制が緩和された11/12年度には170億ルピーとしている。

<国内自動車産業界と中古車輸入業者の激しい攻防>
中古車の輸入政策に関しては、中古車輸入業界、国内自動車産業界双方が、政府、国会などに働き掛けており、2013年に予定されている総選挙を控え、政治問題化していた。今回の輸入規制強化に当たっては、閣僚レベルの政府経済調整委員会(ECC、議長:財務相)ではECCの指示の下に設立された検討委員会の答申に基づき、2012年11月22日に中古車輸入規制の強化に合意していたが、12月4日、国会下院財政委員会は政府に対し、中古車輸入規制の強化をしないよう要求していた。中古車輸入規制強化の是非については、政府内でも財政収入を減らしたくないFBRと国内産業育成政策を担当する産業省、さらには貿易政策を担当する商業省の間で見解が異なっていた。

(白石薫)

(パキスタン)

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