日本産食品の輸入禁止措置を解除

(サウジアラビア)

リヤド事務所

2012年12月12日

サウジ食品医薬品庁(SFDA:Saudi Food and Drug Authority)は、10月16日付決議で、これまで全面的に禁止していた日本の1都11県からの食品輸入を、条件付きで再開すると決定した。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<対象は1都11県からの輸入>
SFDAは日本の東日本大震災発生後、2011年4月13日、4月16日、6月20日付の3件の通知により、1都11県(茨城、栃木、群馬、福島、宮城、山形、新潟、長野、山梨、埼玉、東京、千葉)からの食品輸入を全面的に禁止していた。

今回発表された2012年10月16日付決議で、この1都11県からの食品輸入が解禁されることになった。サウジアラビア政府として、日本国内で適用されている放射性セシウムの基準値などを再検討した結果、危険な状況は終結したと判断した。

同決議は、サウジアラビア外務省を通じて11月26日付で在サウジアラビア日本国大使館に通達された。またアラビア語のみではあるが、既にSFDAのウェブサイトにも掲載されている。添付資料「仮訳」は、同サイトの該当箇所をジェトロ・リヤド事務所で英訳したもの(注)。

<証明書の添付が必要>
輸入禁止は解除されたが、同通知では「次の(2つの)条件下において許可する」と、あくまで条件付きの許可だとしている。

(1)輸入食品の貨物には、日本のしかるべき政府機関が「放射性物質の影響なし」と承認した証明書を添付すること。証明書には、食品の産地と、当該食品が日本において「放射性物質の影響なし」と見なされているか、あるいは放射性物質の値が「サウジ・スタンダードNo.1542/1998」に示されている基準値を下回っていることを明示すること。
(2)日本からの輸入食品については、今後も継続して、SFDAの食品検査担当官が迅速な放射性物質探知検査を行う。

(1)の「サウジ・スタンダードNo.1542/1998」とは、サウジ標準化公団(SASO:Saudi Standards,Metrology and Quality Organization)が作成、販売している資料「SASO1542(GS988):Limits of Radioactivity Levels Permitted in Foodstuffs − Part 1」(添付資料参照)のこと。本通知において、初めてSFDAが指定する放射性物質の基準値(1キログラムまたは1リットル当たり)が以下のとおり明らかにされた。

(1)水:10ベクレル以下
(2)牛乳・乳製品:30ベクレル以下
(3)ベビーフード:30ベクレル以下
(4)その他の食品:75ベクレル以下
(5)動物の飼料:300ベクレル以下

なお、日本の農林水産省食料産業局によると、検査証明書の発行機関については依然不明確なため、現地側に確認しているという。詳細が分かり次第、同省のウェブサイトに情報を追加する予定だ。

これらの許容値がどの程度厳密に検査・適用されるのかなど、運用面では依然として不明瞭な点が残るが、今まで詳細な基準値が示されてこなかったことを考えると、今回の基準値の公表は、日本の食品企業にとって1つの参考となりそうだ。なお、2011年の日本のサウジアラビア向けの食料品、動植物生産品の輸出額は、10億5,200万円で、同品目の対世界輸出の0.3%を占めた。

(注)原文では以前の通知から「福島第一」と記載されているが、「福島」の誤りと思われる。

(米倉大輔)

(サウジアラビア)

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