外国投資ネガティブリストを改定−新たに不動産関連サービスなどを規制対象に−

(フィリピン)

マニラ事務所

2012年11月21日

外国投資規制を定めた大統領令(Executive Order)第98号が11月22日に発効する。2010年以来の改定で、新たに不動産関連や金融関連事業分野について規定する共和国法の定めに従い、ネガティブリスト上で外資規制を明確にした。今回の改定により、規制を緩和された事業分野は特にない。

<外国人の就業規制や外資制限の事業分野を追加>
変更点は次のとおり。

○新たに規制対象となる事業分野
外国人の就業を認めない専門職分野に以下の3項目が追加された。

(1)不動産サービス(仲介業など):2009年共和国法第9646号(不動産サービス規制法)に基づき不動産関連サービスを提供する者に対する資格認定登録制度が創設されていた。この法律の中で、資格認定受験資格者はフィリピン人に限定されている。

(2)呼吸器治療師:2010年共和国法第10024号(呼吸器治療師資格認定法)に基づき資格認定登録制度が創設されている。受験資格者はフィリピン人に限定されている。

(3)心理治療師:2009年共和国法第10029号(心理治療師資格認定法)に基づき資格認定登録制度が創設されている。受験資格者はフィリピン人に限定されている。

今回のネガティブリスト改定はこの新設国家資格の国籍条項を反映したものだ。

○新たな外資制限比率が設定された事業分野
金融貸付会社(Lending Companies):49%を上限とする。2007年共和国法第9474号(Lending Companies規制法)に基づき貸し付けを行う金融貸付会社について、外資の出資比率を49%に制限するもの。

同法第6条において、「議決権株式の過半数はフィリピン人保有でなければならない」と規定しており、同法発効前に既に存在する会社について、外資が49%を超える場合は49%まで減少させることを求めている。

大統領令第98号は、10月29日大統領が署名し、11月7日新聞公告、11月22日発効となる。

ネガティブリストとして大統領令により外資規制を行っているが、このリストは以下の2部構成となっている。

リストA:憲法および特別な法律により外資規制を受ける業種を規定している。
リストB:政策的に国内中小企業保護などを目的として大統領権限により外資を規制する業種を列挙している。

今回の改定はこのリストAに属するもので、特別な法律の施行に伴う改定となっている。

大統領権限により特定事業分野の外資規制を強化したり、緩和したりする改定ではない。

<実業界の反応は冷ややか>
外国商工会議所連合(JFC)は、「今回の改定については、全く規制緩和が進んでおらず、特に専門職への外国人の従事について、政府は完全に排除しており、この点に関する規制緩和を今後も求めていく」としている。

(辻一郎)

(フィリピン)

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