商業省が輸入ライセンスの改定規定を説明

(インドネシア)

ジャカルタ事務所

2012年11月09日

ジェトロ・ジャカルタ事務所とジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)は10月31日、日本大使館で販売業者や商社などが保有する一般輸入ライセンス(API−U)の改定規定(商業大臣規定2012年第59号)に関する説明会を開催した。日系企業の駐在員を中心に約130人が参加し、商業省のデディ・サレ貿易総局長から説明を受けた。

質疑応答を含めたデディ総局長の説明のポイントは以下のとおり。

<輸出者と輸入者の「特別な関係」の証明手続きは在外公館で対応>
商業大臣規定2012年59号(2012年10月9日記事参照)では、API−Uについて、輸出者と輸入者の「特別な関係」を示せば、「1社複数分野」の輸入を認めるとしている(分野は全部で21に分かれている)。デディ総局長は「1社複数分野」を認める条件として、第4条6項に示されている6つの類型(経済活動における支配分割のための契約上の合意、株式保有、定款(関係の記載)、代理店/販売業者契約、融資契約、サプライヤー契約)のいずれか1つを満たすことを証明すればよいとした。その証明は、「特別な関係」を証明する書類を輸出者側の在外インドネシア公館の商業担当に提出する方法によるが、その際、輸出者と輸入者の「特別な関係」を示すだけではなく、双方の取り扱い製品(製品名、HSコードなど)の情報が必要となる。例えば、「定款(登記簿)」により親会社・子会社の関係を証明する際、定款には取り扱い製品や必要な原材料などが記入されていないため、それを説明する補足的な資料を添付することが求められる(具体的にどのような資料が求められるかについての説明はなく、明確にされていない)。

また、書類によっては公証人による認証が必要な場合がある。在外インドネシア公館から証明書が発行されると、輸入ライセンスの申請者はこの証明書を申請のための添付書類としてインドネシア投資調整庁(BKPM)、商業省、各州商工局のいずれかへ提出する(BKPMから認可を受けている外国企業はBKPMが申請窓口)。在外インドネシア公館による証明書の発給手続きに要する日数は、全ての必要書類が提出されてから5日程度という。API−Uには、対象となる製品の製品名、HSコードなどの情報が記入される。

<API−Uは5年ごとの更新が必要>
「特別な関係」を証明する範囲について、説明会の参加者からは、ある品目について複数のサプライヤーから輸入しているケースがあり、これら全てを証明する必要があるかとの質問があった。これに対してデディ総局長は、全てのサプライヤーごとに特別な関係を証明する必要はないとした。また、複数国からの輸入の場合も、代表的な輸出者との「特別な関係」を証明できていれば十分とした。

API−Uの有効期限は当該輸入者が存続する限り有効だが、5年に1度の再登録が必要と説明した。

また、事後監査は税関が行うのではなく、商業省を中心に結成した特別チームにより、3ヵ月ごとに商業省外国貿易総局に対して提出される輸入実績報告に基づいて行われるため(第34条)、その結果により直ちに輸入通関が止められることはないとした。

現行のAPI−Uは2012年末に失効し、新ライセンスへの移行が求められる中、具体的な申請手続きについてはいまだに不明確な部分が多く、今後、BKPMなどの申請窓口での混乱が懸念される。商業省のデータによると、2012年5月時点でのAPI−U保有者数は約1万件に上り、今後一斉に更新手続きが開始されるとみられる(表参照)。デディ総局長によると、全世界にある在外インドネシア公館に本件は周知済みとのことだが、一部の日系企業からは、早くも駐日インドネシア大使館の窓口で手続きが滞っているとの報告も複数なされており、注意が必要だ。

2012年5月時点での輸入ライセンス(API)保有者数

(藤江秀樹)

(インドネシア)

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