EUの2013年GDP成長率、0.4%に大幅下方修正−欧州委秋季経済予測−

(ユーロ圏、EU)

ブリュッセル事務所

2012年11月08日

欧州委員会は11月7日、秋季経済予測を発表し、EUの2012年の実質GDP成長率をマイナス0.3%、13年を0.4%と予測した。5月の春季経済予測から、それぞれ0.3ポイント、0.9ポイント下方修正した。ユーロ圏も12年がマイナス0.4%、13年は0.1%と、それぞれ0.1ポイント、0.9ポイント下方修正している。

<EU、ユーロ圏ともに2012年と13年の成長を下方修正>
欧州委が11月7日に発表した秋季経済予測(注)によると、2012年のEUのGDP成長率は、5月の春季経済予測(2012年5月14日記事参照)から0.3ポイント下方修正されマイナス0.3%となった。13年は0.4%と、0.9ポイント下方修正した(表1参照)。

表1EU経済の見通し(前年比伸び率)

ユーロ圏のGDP成長率についても、域内の債務危機の深刻化により、2012年はマイナス0.4%、13年は0.1%と、それぞれ0.1ポイント、0.9ポイント下方修正した(表2参照)。

表2各国の実質GDP成長率見通し

2013年のEU、ユーロ圏のGDP成長率は内需の低迷により、ほぼゼロとなる。拡大する場合は、世界需要の回復で恩恵を受ける純輸出が主な要因となるとの見方を示した。

国別にみると、ユーロ圏の経済大国であるドイツやフランスなども2013年まで0%台の成長にとどまっている。特に、これまでユーロ圏経済を牽引してきたドイツの成長率が、0.9ポイント下方修正され0.8%となった。また、13年にマイナス成長が見込まれているのは、ギリシャ、スペイン、イタリア、キプロス、ポルトガル、スロベニアと南欧諸国に集中している。これらの国々は12年もマイナス成長で、経済回復への見通しは厳しい。

欧州委は報告書(PDF)で、「ユーロ圏の長期的な存続に対する市場の懸念の高まりや、銀行の資金調達圧力と経済活動間の負のスパイラルなどによる、2012年上半期の債務危機が主因で、12年は失望を招く成長となっている」と分析した。

欧州委は今回発表した秋季経済予測のサブタイトルで、欧州経済について「荒波の中の航海(Sailing through rough waters)」と表現した。欧州委のオッリ・レーン副委員長(経済・通貨問題担当)は「欧州はマクロ経済の再調整という厳しい過程の最中にあり、その状況はもうしばらく続く。しかし、2013年初頭から緩やかな回復基調になる見込み。最近の主要な政策決定が市場の信頼回復につながるだろう。市場の緊張は減少しつつあるが、ここで満足してはならない。欧州は今後も構造改革を伴う健全な財政政策を採用し、高水準の失業率を低下させる持続可能な成長を生み出す環境をつくらなくてはならない」と述べた。

<失業率は2013年にさらに悪化の見込み>
雇用をみると、EUの失業率は、1999年のユーロ導入以来、最高値を更新し続けている(2012年11月6日記事参照)。2012年は10.5%、13年は10.9%と、13年にはさらに悪化する見込み。ユーロ圏の失業率は、12年に11.3%、13年は11.8%とした(表3参照)。ギリシャやスペインは20%を超え厳しい状況が続く。ただし、13年に入って緩やかに経済が回復してくると、13年末ごろから改善がみられるだろうと予測している。

表3各国の失業率予測

2012年の消費者物価上昇率は、エネルギー価格、間接税、管理費などの上昇により、EUでは2.7%、ユーロ圏は2.5%とされた。原油価格は高騰し、夏の日照りが供給に影響を与えるなど食品価格も一時的に高騰した。13年には商品(コモディティー)価格は徐々に低下し、消費者物価上昇率に与える影響も低下していくとみられる。このため、EUでは13年に2.0%、ユーロ圏では1.8%に低下すると予測した(表4参照)。

表4各国の消費者物価上昇率予測

2012年の財政赤字は、EUがGDP比3.6%、ユーロ圏は3.3%となった。12年経済は悪化する一方、財政再建措置により、11年に比べて改善がみられる。特にユーロ圏の財政赤字は、13年には2.6%と0.7ポイント改善する見込みだ。

(注)従来、欧州委は年2回(春季経済予測と秋季経済予測)、詳細な予測値を発表し、このほかに両経済予測の合間の時期に年2回、GDP成長率と消費者物価上昇率について主要国統計に基づき中間経済予測を発表していた。今回からは中間経済予測がなくなり、春季(5月)、秋季(11月)、冬季(2月)の年3回、詳細な経済予測を発表することになった。

(小林華鶴)

(EU・ユーロ圏)

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