出店数制限などの規定を公布予定−フランチャイズ規制セミナー(2)−

(インドネシア)

ジャカルタ事務所

2012年10月31日

連載の後編は、フランチャイズ規制に抵触しているとして警告状が出されているコンビニエンスストアに対する商業省の見解と、今後公布される予定の新たな規制について。

<セブン−イレブン、ローソンは規制に合わせて対応へ>
フランチャイズ規制(商業大臣規定2012年第53号)は、8月24日の施行から2ヵ月が経過し、商業省は実施細則などを今後順次公布する予定だ。規制が施行された2ヵ月前と比べると、当局の規定解釈が柔軟になってきた印象もあるといわれる。今回のセミナーでも、事業形態の実態に合わせた評価・監督を行おうとする商業省の姿勢がうかがえ、同省は今後公布される実施細則などにも反映させる意向を示している。

商業省は8月下旬、商業大臣規定第53号第21条の事業許可に基づく店舗運営の規定に抵触するとして、セブン−イレブンとローソンに警告状を出した。

同21条では、フランチャイザーとフランチャイジーに、事業許可に基づいた業務遂行が義務付けられており、事業許可に関連しない物品の販売なども、その販売品目数が全体の10%以内であれば認められている。商業省によると、セブン−イレブンは「レストラン・カフェ業」としてフランチャイズ登録されているが、実際は、小売店(いわゆるコンビニエンスストア)として運用されている。同社が、コンビニエンスストアとしての機能を主として店舗を展開するのであれば、「レストラン・カフェ」の事業許可ではなく、「ミニマーケット」の事業許可を得て、新規にフランチャイズ登録を行う必要がある。

仮に、セブン−イレブンがレストランやカフェとして店舗の展開を図りたいのであれば、現状の店舗フォーマットを変更し、雑貨品などの物販を減らし、取扱商品を変更しなければならないと商業省は判断している。商業省との調整の結果、セブン−イレブンは、現在ミニマーケットの事業許可を取るべく手続きに入っている。

セブン−イレブンと同様に警告状が出されたローソンも同様で、レストラン・カフェの業態を取るのか、ミニマーケットの業態を取るのかを選択の上、適切な手続きを進めるよう商業省から要請されている。

<企業に利益が出てから出店制限か>
今後公布される予定の規定などの概略は次のとおり。

(1)小売り(ミニマーケット)のフランチャイズ展開に関する出店店舗数制限
商業大臣規定第53号で見送られた出店店舗制限は、今後発表予定の「小売りフランチャイズ規制」に盛り込まれる予定。

報道などによると、出店店舗数の上限を150店舗として、151店舗目以降はサブフランチャイジーなどの活用が必要とされてきた。今回のセミナーでは、以下のとおり柔軟な対応方針が示された。

新規参入企業が不利益を被ることがないよう、当該企業に利益が出るまでは出店店舗制限を適用しないことを検討しているもようだ。損益の状況は公認会計士による証明が必要となる。

具体的な例としては、500店舗の出店計画がある企業が、300店舗を展開するまで利益が出ず、301店舗目から利益が出た場合、300店舗までは利益が出ていないためマスターフランチャイジーが直営で店舗展開できる。301店舗以降については、展開された店舗数のうち、60%をマスターフランチャイジーが直営で運営できることとし、残りの40%はサブフランチャイジーなどの活用が必要になる。

(2)レストラン・カフェのフランチャイズ展開に関する出店店舗数制限
小売りの出店店舗制限の規定が策定されてから、レストラン・カフェについての規定の内容を検討する予定。基本的な考え方は小売りと同様としながらも、レストラン・カフェという業態の特徴上、出店店舗数の上限などについては、臨機応変に対応する方針で、小売りとは別の規定で公布される予定だ。

(3)商業大臣規定第53号の細則規定
○評価チームの構成要件などに関する総局長規定
商業大臣規定第53号第19条に規定されている国産品80%の使用義務および、第21条に規定されている事業許可の範囲を超える物品などの販売が10%を超える場合の例外措置などについて、評価を行うチームのメンバーなどを規定する予定。

○監査・監督チームの構成要件などに関する総局長規定
フランチャイズ登録を行った企業同士がスムーズな業務ができるよう、監査・監督を行うチームの構成要件などについて規定する予定。

○ロゴ使用に関する総局長規定

○第19条、第21条の解釈に関わるガイドライン

(春田麻里沙)

(インドネシア)

ビジネス短信 508e2fbe43238