第2四半期のGDPは5.5%成長−欧州債務危機が不安材料−

(チリ)

サンティアゴ事務所

2012年09月26日

チリ中央銀行はこのほど、2012年第2四半期のGDP成長率は前年同期比5.5%と発表(8月20日)した。これにより上半期の経済成長率は5.4%となった。内需が7.1%増と活況を呈し、固定資本形成も8.0%と好調だったことが要因だが、輸出は1.2%増にとどまり、EU債務危機が影響を及ぼし始めたとの指摘もある。

<好調な内需が成長を下支え>
サンティアゴ商業会議所のジョージ・レベル調査部長は、失業率やインフレ率の低下、実質賃金の若干の向上などにより消費が活発になっていると指摘している。事実、第2四半期の個人消費は5.5%増を記録し、中でも耐久消費財は11.7%増と高い水準にある。6月の自動車販売台数は史上最高を記録した前年同月より0.6%増加した。外資法に基づいた上半期の対内直接投資も好調で、前年同期比75.0%増の17億6,700万ドルとなっており、固定資本形成の8.0%増と合わせて、GDPに占める投資の割合は約24%に達している。固定資本形成の中では建設が9.1%増、機械・機器も6.4%増となっている。GDPをセクター別にみると、飲料が18.3%増、電気・ガス・水道も13.1%増と高い成長を示している。その他、非鉄金属・基礎金属6.9%、金属・機械4.9%、商業7.1%、運輸6.6%、通信6.1%、金融サービス9.1%と増加が目立った。

この結果について、フェリペ・ラライン蔵相は「チリはおそらく現時点で世界で最も成長率の高い国の1つだろう。各国が困難な問題に向き合っている中、チリは経済成長を続けており、これはわが国の強さを示すものだ」とコメントしている。

<下半期は成長率低下の見通し>
輸出は1.2%増にとどまった。工業製品は6.5%増だったが、特に原材料加工産業、鉱業、農牧・林・水産業が低調だった。同蔵相はその背景として、輸出額ベースで20%のシェアを占める欧州の債務危機が影響を及ぼし始めた可能性を指摘している。輸入は6.4%増だったことから、貿易収支が悪化し、経常収支は赤字となっている。こうしたことから、同蔵相は下半期の経済成長率は低下するだろうと見込んでいる。

(延田幹夫)

(チリ)

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