100品目の輸入関税を最大25%に引き上げ

(ブラジル)

サンパウロ事務所

2012年09月10日

政府は9月4日、100品目の輸入関税の引き上げを発表した。9月中には最高25%に上げる見通しだ。レアル高になって以降、さまざまな輸入品が流れ込んできたことで国内産業が弱まっており、今回の措置はその対抗策の一環とされている。

<9月中に実施の見通し>
開発商工省(MDIC)の貿易審議会(CAMEX)は9月4日、100品目の輸入関税を一時的に最高25%に引き上げることを決定した。今後、ほかの南米南部共同市場(メルコスール)加盟国の了承が必要となるが、異議がない場合は15日営業日後から引き上げるとしており、一部現地メディアは9月26日に実施されると報道している。

対象品目は、タイヤなどの自動車部品、資本財、鉄鋼製品、石油化学品、医薬品などだ。ジェトロがブラジル自動車部品工業会に電話で確認したところ、対象品目に自動車部品が含まれていることは間違いないが、どの程度のインパクトを与えるものになるかは検証中との回答があった。

今回の措置は、2011年末にメルコスール加盟国間で調印されたメルコスール共同市場審議会決定39/11(DecisaoCMC39/11)に基づくものとなっている。同決定では、国際経済状況によって起こり得る不均衡を理由に、輸入関税率の引き上げを許可するとしている。具体的には、(1)WTO規則の上限まで輸入関税引き上げを可能とする、(2)対象となる関税コードを200品目まで拡大する、(3)最長12ヵ月の期間延長も可能とする、(4)発表から15日営業日以内にほかのメルコスール加盟国からの異議がなければ適応できる、といった点が盛り込まれている。

<輸入増対策で品目の追加も>
政府によると、今回対象となった品目は、パブリックコメントを通じて民間企業や関連団体が出した要求を基に選定された。また、要求に対する検証では、輸入増加率、輸入品の平均価格の減少具合、貿易赤字額、ブラジル拡大計画や経済成長加速化計画(PAC)などの政策との整合性などが考慮された。政府は、2012年10月までにさらに100品目を選出する考えとみられている。

ピメンテル開発商工相によれば、今回の措置はWTO規則の範囲内で、ブラジルは輸入関税をさらに工業製品の場合35%まで、農産物に関しては55%まで引き上げることが許可されていると強調した。

また、マンテガ財務相は、この引き上げは国内生産の刺激を目的としたもので、今後、対象品目の国内市場価格が上昇しないよう、政府が監視を行うことを説明した。特定の品目で目立った価格上昇が起きた際には、対象リストから外す考えであることも表明する一方、世界でも数少ない成長市場となっているブラジルへの輸出が増えている中で、国内産業が犠牲を払っている点を強調した。

(渡邉親枝、紀井寿雄)

(ブラジル)

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