ECB、大幅な国債購入プログラムを実施へ−政策金利は2回連続で0.75%に据え置き−
デュッセルドルフ事務所
2012年09月07日
欧州中央銀行(ECB)は9月6日の政策理事会で、スペインなどの資金調達を助けるため、大幅な国債購入プログラムの実施を決めた。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は0.75%に据え置いた。
<国債購入に条件を付け、透明性高める>
政策理事会後の記者会見で、ドラギ総裁はECBが流通市場で大幅な国債購入プログラムを再開すると発表した。この「アウトライト・マネタリー・トランザクション」(以下OMT)は3回目の国債購入プログラム。OMTは前回プログラムと異なり、欧州安定化メカニズム(ESM)や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)に支援を要請した国、あるいは既に両機関の支援を受けており、金融市場に戻ろうとする国の国債(1〜3年物)のみが対象となる。取引された国債とその金額は毎週発表される予定。OMTの期間と金額に対し、ドラギ総裁は「制限はない。目標を達成するための規模にする」と述べた。
前回の国債購入プログラムの効果は限定的だったが、今回のプログラムはなぜ成功するのかという質問に対し、同総裁は「OMTは前回プログラムと全く違う。条件があり、透明性も高いから成功すると思う」と述べた。
政策理事会はまた、政策金利、限界貸付ファシリティー金利〔オーバーナイト貸し出し(翌日返済)の金利〕、預金ファシリティー金利〔オーバーナイト預け入れ(翌日満期)の金利〕をそれぞれ0.75%、1.5%、0.0%のまま据え置いた。いずれも2回連続の据え置きとなった。
<8月のインフレ率は2.6%と上昇>
同日発表のECBのユーロ圏マクロ経済予測(PDF)によると、主に欧州債務危機の激化とそのユーロ圏実体経済への波及のリスク要因があるため、2012年のユーロ圏実質GDP成長率はマイナス0.6〜マイナス0.2%、13年にはマイナス0.4〜1.4%と、12年6月の前回予測(12年マイナス0.5〜0.3%、13年0.0〜2.0%)から下方修正された。物価上昇率は12年に2.4〜2.6%、13年には1.3〜2.5%と前回予測(12年2.3〜2.5%、13年1.0〜2.2%)から上方修正された。
主にエネルギー価格の再上昇を受けて、ユーロ圏消費者物価上昇率は8月に2.6%(速報値、PDF)と前月に比べ0.2ポイント増え、11ヵ月ぶりに上昇傾向に転じた。ECBが掲げた物価安定の目標値の2%を21ヵ月連続で上回っている。中期的な動向に関し、ドラギ総裁は「インフレ率は原油価格の高騰で予測より高いが、2013年にはまた2%を下回るだろう」と述べた。
(ゼバスティアン・シュミット)
(ユーロ圏)
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