日本企業39社が試験販売・商談会−ジェトロ・アジアキャラバン−

(マレーシア)

クアラルンプール事務所

2012年09月04日

クアラルンプールの高級ショッピングモール「パビリオンKL」で、ジェトロ主催のアジアキャラバン試験販売・商談会と、クアラルンプール展示・商談会(東日本大震災復興支援事業)が開催された。中小企業を中心に、東日本大震災の被災地企業10社を含む日本企業39社が参加した。1万2,000人余りが来場した。

<中国上回る1人当たり消費額>
7月23〜29日に開かれたイベントは、ジェトロが中国で行ってきた「アジアキャラバン試験販売・商談会」事業の東南アジアでの第1弾として開催された。日本企業が企画・生産した日用品・生活雑貨を販売し、消費者の反応を探る試験販売会と、今後の継続的なビジネスチャンスをつかむための商談会を実施した。マレーシアは、ASEAN諸国の中でも人口は少ないながら、中間層・富裕層が8割以上を占め、富裕層人口はASEAN最多で、1人当たりの消費額は中国を上回る有力なマーケットだ。

マレーシア統計局の発表によると、2012年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比で5.4%、民間消費の成長率は8.8%となるなど、内需が旺盛だ。

また、年間20万人余りが中東諸国から訪れるため、「アジアにおけるイスラム市場へのゲートウエー」とも称されている。

<大量注文に追加発送で対応>
試験販売会に出品されたのは歯ブラシ、タオル、浴衣、和食器、グラス、調理用具、文具、たんす、銅製品、鋳鉄製品、化粧品など高機能・高品質な約200点で、単価では数百円から数万円までと多岐にわたった。

完売商品が出ただけでなく、富裕層とみられる来場者からは1点1万円を超える商品の大量注文が入り、在庫だけでは足りずに追加発送で対応するなど、マレーシア人の購買力の強がうかがえた。

一方、売れ行きの芳しくない商品もあった。高品質をアピールしても、マレーシアの類似品との差を消費者に伝え切れなかった一部の高額商品だ。

試験販売会場で行った来場者アンケートでは、「品質もデザインも素晴らしいが、価格が高い」との意見も散見され、出品者の価格戦略を見直す機会にもなったようだ。

<2日間の商談会で引き合い多数>
試験販売会と同時に、2日間の日程で、出品した日本企業が地元の流通・小売業者など計40社と約230件の商談会を実施した。

商談会前には、「初参加で即成約になることは考えておらず、今回は情報収集が目的」との出品者の意見も聞かれたが、実際には2日間で多くの引き合いがあった。また、試験販売会場に来場し、展示商品に興味を示したバイヤーから何件もの飛び込みの商談申し込みもあった。

イベント終了後、現地流通業者と面談した折、「クアラルンプール郊外の大型ショッピングモールの一部の店舗で日本製品を扱いたいと考えている。ぜひ、日本企業にアナウンスしてもらえないか」との話があった。クアラルンプール市内には「パビリオンKL」のほかにも大型ショッピングモールが多数あり、どのモールも品ぞろえは充実している。現地流通業者のこの話は、「高品質・優れたデザインの日本製品に対する需要はある」ということの表れでもあるようだ。

会期中に契約締結まで行った出品者は「引き続き委託販売を行い、消費者の反応をみながら今後の展開を考えていきたい」と意欲をみせていた。

ジェトロは10月16〜21日、タイ・バンコクでも「アジアキャラバン展示・商談会」を開催する。

(望月淳)

(マレーシア)

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