2012年上半期の対内直接投資は引き揚げ超過

(イタリア)

ミラノ発

2012年08月31日

イタリア銀行(中央銀行)は8月24日、2012年上半期(1〜6月)の直接投資(速報値)は、対外直接投資が前年同期比8.4%減の174億8,000万ユーロ、対内直接投資は4億400万ユーロの引き揚げ超過となったと発表した。

<対外直接投資も低調>
2012年上半期の対外直接投資を月別にみると、1月は50億3,900万ユーロの引き揚げ超過で、その後は伸びをみせたが、4月に再び引き揚げ超過に陥るなど、上半期全体では前年同期の水準に届かなかった。また対内直接投資は、11年は1月を除いてプラスだったが、12年は2月と3月を除いて引き揚げ超過が続いており、上半期全体ではマイナスに転じる結果となった(表参照)。

対外・対内直接投資額の推移

<M&Aも大型案件が不在>
会計監査法人のKPMGイタリアによると、イタリアのM&A市場(対内・対外投資および国内企業同士の案件も含む)も低迷しており、2012年上半期のM&Aの総額は52億ユーロとなり、11年同期の147億ユーロに比べ64.6%減少した。一方、件数では129件と11年同期の126件に比べ3件の微増となっており、M&A1件当たりの規模が小さくなっている。11年上半期はフランスのモエ へネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)グループによるブルガリの買収や、フランスの大手乳業ラクタリスのイタリア同業パルマラットへの出資など大型の投資案件(2012年8月6日記事参照)がみられたが、12年上半期には10億ユーロを超える大型案件がなかったことも、直接投資額を押し下げる要因となった。

KPMGイタリアによると、欧州債務危機、マクロ経済の後退、ファイナンス機能の低下といった要素が相まって、イタリア企業のM&A活動を低迷させているという。

2012年は各種の経済見通しでもマイナス成長が予想され、大幅な改善が見込めない中、下半期の直接投資は引き続き厳しい状況が続くとみられる。

(三宅悠有)

(イタリア)

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