輸出植物検疫体制を強化、非伝統産品輸出拡大へ環境整備

(ペルー)

リマ発

2012年08月20日

ボン・ヘッセ農業相は、輸出植物検疫体制の機能を強化する方針を明らかにした。ウマラ大統領が非伝統産品の輸出増加を国民に約束しており、その環境を整えるものだ。

<FTAとの相乗効果狙う>
政府は農業省の傘下にある農業検疫局(SENASA)の予算の増加と、人員の増強や国内外の研修への参加による機能強化を目指す。経済紙「ヘスティオン」(8月9日)によると、ボン・ヘッセ農業相は「SENASAには、輸出相手国の植物検疫当局との調整という重要な役割がある。近年、わが国は自由貿易協定(FTA)の構築を進めているので、その成果をさらに引き出していく必要がある」と述べ、FTAとの相乗効果を高める狙いを明らかにしている。

その背景として、政府の輸出倍増計画と農業団体からの強い要請がある。ウマラ大統領は7月の教書で、2016年の輸出総額を860億ドル(大統領任期の5年間で倍増、を意味する)とし、そのうち非伝統産品(工業製品、アスパラガスなどの近代的農業産品など)については輸出額を現状の3倍、輸出に参加する中小企業数を2倍にすることを表明している。他方、FTA構築による輸出先の関税障壁の引き下げ戦略には限界がみえ始めた。貿易観光省によると、2012年1〜6月期の輸出額は218億4,000万ドルで、FTAカバー率は77%に上る〔FTAのほか、経済補完協定(ACE)などを含む〕。環太平洋パートナーシップ(TPP)など交渉中や発効待ちのものも含めると、95%に達する。

<農業団体も改善の余地を指摘>
ペルー農業生産者団体連合会(Agap)のアナ・マリア・デウストゥア事務局長はジェトロに対し、「輸出植物検疫は相手国のある話で、時間を要することは理解している。しかし、ペルー側のSENASAの体制が十分でないために時間がかかっている部分は、改善の余地がある。SENASAの機能を補うため、Agapに加盟している各農業団体が案件ごとに支援を行っているのが現状だ」と話し、SENASAの機能が不十分で輸出が進まない農産品があるとの認識を示した。また、「SENASAに対して品目と国の組み合わせベースで130件について輸出植物検疫体制を整えるよう依頼している。特にアボカド、ブドウ、かんきつ類に関する要請が多い」と述べた。

(石田達也)

(ペルー)

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