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ギリシャとルーマニアからの企業移転が急増

(ギリシャ、ルーマニア、ブルガリア)

欧州ロシアCIS課

2012年07月12日

財政赤字で緊縮財政下にあるギリシャとルーマニアからブルガリアへの企業進出が急増している。ギリシャからの2011年の企業進出(移転を含む)は前年末比72%増の約3,800社、ルーマニアからは47%増の約400社に達した。政治の安定度や税制がその要因とみられ、12年に入ってもこの傾向は続いている。

<国境近くの市に集中>
国家歳入庁が11年の法人税申告ベースで調査した結果、ギリシャ企業は10年末の2,199社から11年末の3,781社に急増し、ルーマニア企業も272社から401社に増加した、と現地紙「ノビニテ(ニュース)」(電子版7月4日)などが報じた。

11年7月の国家歳入庁の発表でも、10年末のギリシャ企業数は06年末比の3倍、ルーマニア企業数は8倍になっている。

ギリシャ企業もルーマニア企業も、進出先はそれぞれの国境近くの都市と首都ソフィアに集中している。ギリシャ企業は、国境から北へ約80キロのブラゴエフグラッド市に41%が集中し、次いで首都ソフィア(国境から約165キロ)に37%が進出している。

また、ルーマニア企業は、ドナウ川沿いのルセ市に42%が集中しており、次いでソフィア(国境から約280キロ)に30%が進出している。

<所得税なども低率>
ギリシャとルーマニアからの移転企業は、欧州債務危機が続く中、ブルガリアの政治・経済の安定度の高さや、比較的軽い企業の税負担を評価したためとみられる。

政治・経済面でみると、ギリシャとルーマニアはIMF、EU、世界銀行などから緊急融資の支援を受けており、厳しい緊縮政策を求められている。これに反発した両国の国民は、大規模なストで政権交代を実現したが、経済状況は依然不安定だ。政府の借金はGDP比でみて、ギリシャが161%、ルーマニアが33%、一方、ブルガリアは16%だ。

法人税だけでなく所得税などの利点もある。所得税はギリシャが45%(最高税率)、ルーマニアが16%(一律)なのに対しブルガリアは10%(一律)、付加価値税(VAT)もそれぞれ23%、24%、20%と、ブルガリアが最も低い。社会保険の雇用主負担率も、ギリシャが28.06%、ルーマニアが27.75〜38.45%に対し、ブルガリアは18.2%と低い。

<通貨の安定性も魅力>
一般工職の平均賃金水準は、ルーマニア(413ユーロ)とブルガリア(356ユーロ)では大差はないが、ギリシャ(1,358ユーロ)はブルガリアの3.8倍だ。対ユーロの為替レートは、ルーマニアでは現地通貨レイ(11年の平均は1ユーロ=4.20レイ)が、欧州債務危機や政権交代の影響を受けて、12年5月25日には1ユーロ=4.475レイの最安値を更新し、レイ安傾向が続いている。ブルガリアの通貨レバは、ユーロと10年以上にわたり為替レートが固定(1ユーロ=1.95583レバ)している。会社の設立資本金は、ブルガリアでは2レバ(約1ユーロ)から可能だ(2009年10月7日記事参照)

このように、政治・経済の安定や税制の利点が、ギリシャとルーマニアからの企業移転を促している。この傾向は今後も続くと国家歳入庁はみている。

(豊田昇)

(ブルガリア・ギリシャ・ルーマニア)

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