知財ブースの模倣品展示に関心集まる−「元気な日本」展示会−

(香港)

香港発

2012年04月10日

「『元気な日本』展示会in香港」(主催:外務省)が3月23〜27日に開催され、来場者に各種の日本産品のPRが行われた。ジェトロは模倣品展示ブースを設け、知的財産権保護のための啓発活動を行った。

<国交正常化40周年記念事業の一環>
日中国交正常化40周年記念事業として2月から3月にかけて、北京、上海、香港で「元気な日本」展示会が開催された。香港では、3月23〜27日に九龍湾国際展貿中心で開かれた。

展示会では、日本側が東日本大震災復興プロセスでの香港側からの支援に対し感謝を表明、地方公共団体や企業などが、観光、飲食、ロボット、ポップカルチャー、アニメ、ファッションなどの展示やステージイベントを行った。開幕式には、曾蔭権(ドナルド・ツァン)行政長官や西村智奈美「元気な日本」特別大使(衆議院議員)らが出席した。

展示会の目標訪問者数は約2万人だったが、展示会事務局によると、約5万4,300人が来場した。展示会場が香港の中心部から外れているため、来場者数に影響するのではと懸念されたが、抽選会、ライブ(AKB48など)や太鼓・生け花の実演などが集客に効果的だったようだ。

<本物と模倣品の見分け方を説明>
ジェトロは、企業・業界団体から模倣品の貸与を受け、模倣品展示ブースを設け、ブース来訪者に本物と模倣品の判別方法について説明した。来訪者は、興味本位ではなく、ここで得た知識を実生活に生かしていきたいとの視点から、熱心に説明を聞く傾向がみられた。香港市民は、中国などから流入する模倣品のリスクに日々さらされており、製品を購入する際は非常に注意深くチェックしているという印象がある。このような事情がジェトロブースに対する来訪者の関心を高めたと考えられる。

ブース来訪者への説明の過程で、来訪者が携行した製品の表示が展示した模倣品のそれと類似していることが判明する、といった例もあった。

また、来訪者の一部に実施したアンケートでは、日常の真贋(しんがん)判別方法として、「正規代理店での販売物かどうかで判断する」との回答が1位となり、販売ルートを消費者に周知することが特に有効な手段であることをうかがわせた。また、「(商品ごとではなく)日本製品と、それ以外の製品を見分ける良い方法を開発したり、提示したりすればよい」との声が比較的多かった。

<知財保護の取り組みを強化>
今回の模倣品展示ブースは、多くの来場者から好評だった。今後もこうした機会があれば、企業・業界団体の協力を得つつ、展示品の充実を図りたい。

なお、知的財産の保護のためには、消費者啓発だけではなく、現地の政府関連部門による十分な対策も欠かせない。ジェトロでは、これまで香港税関職員向けに(日本製品の)真贋判定セミナーを実施してきた。香港政府による知財保護の取り組みを促す観点から、先方の要望を踏まえた、より有益な知財情報を提供することができるよう、日本企業と香港政府との間の良き橋渡し役を務めていきたい。

(白井宏幸)

(香港)

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