酒類輸出は4月2日から証明書不要に−放射線検査の新規則が発効−

(日本、EU)

ブリュッセル発

2012年04月02日

欧州委員会は3月29日、日本からの輸入食品・飼料の放射線検査に関する新たな規則を採択し、30日付官報に掲載した。同規則は、セシウム134とセシウム137の上限値を日本が適用する数値に合わせることや、日本酒、ウイスキー、焼酎を検査対象外とすることを定めている。同規則は4月2日に発効し、同日以降EUに輸入される日本産酒類については、証明書が不要になる。

食品連鎖・植物衛生常設委員会(SCoFCAH)会合で3月23日、EUのセシウム134と137に対する上限値の変更と、日本酒、ウイスキー、焼酎を検査対象外とすることを決定(2012年3月26日記事参照)、その改正案を欧州委員会が採択した。欧州委の採択を経て、現行の欧州委員会実施規則961/2011(PDF)を置き換える欧州委員会実施規則284/2012(PDF)が3月30日付官報に掲載された。同規則は4月2日に発効する。

<日本酒、ウイスキー、焼酎が適用除外に>
日本酒、ウイスキー、焼酎は、以下のCNコード(EUの関税分類コード)が適用除外となり、証明書は不要になる。

○日本酒:2206 0039(発泡酒)、2206 00 59(発泡性のない日本酒、2リットルかそれ以下の容器)、2206 00 89(発泡性のない日本酒、2リットル以上の容器)
○ウイスキー:2208 30
○焼酎:2208 90 56、2208 90 69、2208 90 77、2208 90 78

それ以外にも今回の規則で適用外となるのは、2011年3月28日以前に日本から出発した食品、11年3月11日以前に収穫、加工された食品。

<セシウム134と137の上限値を日本と同水準に>
また、食品に含まれるセシウム134と137に関し、EUが日本と同じ上限値を適用することで、日本当局が実施する輸出前の管理措置とEU到着時に実施される管理措置との間で一貫性が維持されることになる。

食品に含まれるセシウム134と137の上限値は、同規則の付属書2で規定されている(表参照)。

食品に含まれるセシウム134と137の上限値

経過措置として、同規則の付属書3で以下のとおり定めている。

○12年3月31日以前に製造、あるいは加工された牛乳や乳製品は、上限値を1キロ当たり200ベクレルとする。3月31日以前に製造、あるいは加工されたその他の食品(コメ、大豆、加工食品以外)は、上限値を1キロ当たり500ベクレルとする。
○コメについては、12年9月30日までは、1キロ当たり500ベクレルを上限値とする。
○12年9月30日までにコメから作られた、あるいは加工された製品は、1キロ当たり500ベクレルを上限値とする。
○大豆は1キロ当たり500ベクレルを上限値とする。
○大豆から作られた、あるいは加工された製品は、1キロ当たり500ベクレルを上限とする。

<輸出証明書も一部変更>
同規則によって、輸出証明書の中で、セシウム134と137の合計値が上限値を超えないことを証明する項目が設けられた。具体的には、上記の経過措置のいずれかに該当するか否かをチェックする項目が最新の輸出証明書(同規則の付属書1)の中に設けられた。

同規則は12年10月31日まで適用されるが、引き続き定期的に見直される予定。

(小林華鶴)

(EU・日本)

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