蘇州市、外国人の社会保険加入細則を実施−全国に先駆け−

(中国)

上海発

2012年02月17日

蘇州市人力資源・社会保障局は2月2日、「蘇州市で就業する外国人の社会保険加入業務の遂行に関する通知」を公表し、外国人に義務化されている社会保険加入の細則を全国に先駆けて実施する。日本人滞在者が上海や北京などに続いて5番目に多い蘇州市での実施で、日本企業を含む外資系企業に対する影響が注目される。

<納付時期は11年10月にさかのぼる>
就業する外国人の社会保険について、中央政府は2011年10月から加入を要求しているが、社会保険の納付基準は全国で統一されておらず、実施の詳細は各地に任せられている。北京や大連などは国の規定に合わせて実施すると明言しているが、あいまいな解釈が多く、外資誘致に与える影響も懸念され、本格的な実施には至っていない。

蘇州市が出した通知の主な内容は以下のとおり。

(1)11年10月15日以前に蘇州市で既に就業していた外国人は、さかのぼって11年10月から社会保険料を納付しなければならない。
(2)11年10月〜12年2月の納付基準について、2月末までに社会保険の手続きを行う外国人就業者は、本人の実賃金(基数の上限・下限の範囲内)を基数として納付できるが、3月1日以降に手続きを行う場合は、蘇州市の補充基数に基づいて納付する。
(3)中国人と同様、外国人就業者は養老、医療(健康)、失業(雇用)、生育(出産)、工傷(労災)の5種類の保険に加入しなければならない。しかし、05年から実施されている蘇州市独自の外国人社会保険制度に加入していれば、新たに失業と生育を加えるだけで、納付の基数は従来どおり。

中国の外国人社会保険規定では、香港、マカオ、台湾の出身者は除外されているが、蘇州市では外国人と同様に扱われている。

<納付基準は中国人と同じ>
就業者の実賃金はそのまま社会保険の基数になるが、実賃金が基数の下限を下回った場合には下限、上限を超えた場合には上限をもって計算される。また、外国人就業者のように社会保険をさかのぼって納付する場合、補充基数で支払うこともある。ちなみに蘇州市の11年度(11年4月〜12年3月)の社会保険の下限額、上限額、補充基数はそれぞれ1ヵ月当たり1,800元(1元=約12.4円)、1万1,392元、2,991元になっている。

社会保険は保険料率に基数(標準報酬額)を乗じて得た金額を、企業と個人がそれぞれの割合で負担する。蘇州市の1人当たり社会保険負担月額は、企業側で594〜3,759元、個人側で198〜1,253元になる(表参照)。

蘇州市社会保険納付基準(11年4月〜12年3月)

ただ、蘇州市の管轄内では、県レベルの都市に相当する常熟市、張家港市、昆山市、呉江市、太倉市のほか、シンガポールと共同で経営している蘇州工業園区も独自の社会保険制度を定めているため、納付基準は必ずしも蘇州市と一致しない。

(劉元森)

(中国)

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