インドネシアと特恵貿易協定を締結−互いに200以上の品目で関税優遇−
カラチ発
2012年02月16日
パキスタンとインドネシアは2月3日、特恵貿易協定の締結に合意した。インドネシアはパキスタンに216品目、パキスタンはインドネシアに287品目の関税を優遇する。パキスタンは既に実施に伴う国内手続きを終了しており、インドネシア側の手続きを待って公文を交換、30日後に施行する。
<人口大国同士の交流強化へ>
両国は2005年11月から包括的な経済協定を締結しており、同協定に基づき、06年から特恵貿易協定交渉を続けてきた。パキスタン商業省の発表によると、インドネシアはパキスタンに対し216品目の関税を優遇する。主な対象品目は生鮮果物、綿糸、綿布、既製服、扇風機、スポーツ用品(バドミントン、テニスのラケット)、皮革製品など。これによりパキスタン産のミカン(パキスタン名「キノ」)は、関税0%でインドネシアに輸出できることになる。
一方、パキスタンはインドネシアに対し、パーム油など287品目について優遇関税を適用する。両国の関税優遇対象品目リストは、2月10日現在、公表されていない。
パキスタンの貿易統計によると、パキスタンからインドネシア向けの輸出額は、10/11年度(10年7月〜11年6月)で1億2,640万ドルと、総輸出額(253億5,400万ドル)の0.5%にすぎない(表参照)。しかし、近年5,000万〜7,000万ドルにとどまっていた輸出額が、10/11年度に1億ドルを突破し、前年比84.4%増と急拡大した。
他方、インドネシアからの輸入額は、10/11年度で4億1,897万ドルと、総輸入額358億2,800万ドルの1.2%。06/07年度4億1,794万ドル、07/08年度5億2,544万ドル、08/09年度4億5,925万ドル、09/10年度3億24万ドルと、横ばい傾向が続いている。
インドネシアとパキスタンは、人口がそれぞれ2億4,200万人(世界4位)、1億7,600万人(同6位)と多く、両国を合わせると4億人を超す。また、ともにイスラム教を主な宗教としており、宗教、文化面でのつながりから、交流が今後も拡大する可能性がある。在カラチのインドネシア総領事館は、1月末にパキスタンからインドネシアへの訪問者を増加させるため、ビザ手続きの改善について検討することを明らかにしている。
<自動車部品などで日系企業にも恩恵か>
両国の特恵関税の導入による日本企業への影響としては、一部自動車部品や発電機などがインドネシアからパキスタンに輸入されているため、これらの品目が関税削減対象になれば、関税費用の削減に伴う生産コスト、販売価格の低減というプラスの効果が期待できる。
(白石薫)
(パキスタン・インドネシア)
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