47分野の関税同盟技術規則、段階的に適用開始

(ベラルーシ、カザフスタン、ロシア)

モスクワ発

2012年02月09日

国内の規格認証制度から3ヵ国関税同盟内の統一制度への移行を進める目的で、関税同盟技術規則の策定が進んでいる。最終的に47分野で予定され、2012年から段階的に適用される見通しだ。

<策定進む関税同盟統一の技術規則>
10年1月1日に商品の自由な移動を目的としてロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3ヵ国関税同盟が発足、12年1月1日からは3ヵ国で統一経済圏を形成、これまでの商品の移動に加え、サービス・資本・労働力の移動も自由化される予定になっている。この一連の動きの中、規格認証の分野では関税同盟内で統一技術規則を策定する動きが始まっている。

現在、ロシアで流通する製品(ただし、規格認証の対象品目のみ)には、品質と安全性が国家規格に適合しているという規格認証の取得が必要で、商品に認証取得済みマークを表示することになっている。また、輸入通関時には、税関でそれを証明する書類の提出が必要だ。

現行のロシアの規格認証制度には、国家標準規格(GOST−R)とGOST−Rから改定された新規格(技術規則:TR)がある。今後、これに加え、関税同盟内で統一的に適用される関税同盟技術規則に基づく規格認証制度の運用が開始される見通しだ。

<移行期間中はGOST−R、TR規格製品も流通>
11年から、関税同盟委員会の中で、関税同盟技術規則の策定が進行している。一部は既に策定済みで、今後も段階的に策定されていく予定だ。

関税同盟技術規則の発効後は、同規則対象製品は、同規則に基づく規格認証を取得、該当しない製品は従来どおりGOST−RまたはTRに基づく規格認証を取得することになる見込みだ。

ただし、関税同盟技術規則の発効後も、一定の移行期間が設けられており、この期間中は、従来のGOST−RまたはTRに基づく製品と、関税同盟技術規則に基づく製品の双方が流通することになるという。

<「香水・化粧品」「玩具」は7月1日から適用へ>
既に策定済みの関税同盟技術規則について、最も早いもの(花火の安全性に関する技術規則)は2月15日から適用される。このほか、「香水・化粧品」「小児・青少年向け製品」「玩具」「パッケージ(包装)」「軽工業製品」の技術規則は、7月1日から適用が開始される予定だ。

現時点で既に策定済みの技術規則で12年と13年に発効予定の技術規則一覧は表のとおり。段階的に適用が始まる。

12年と13年に発効予定の関税同盟技術規則の一覧

在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)の技術規則・基準認証委員会のウラジーミル・オフチャロフ委員長は「関税同盟技術規則の策定は段階的に行われるため、自社製品に関連のある技術規則の策定動向を注視する必要がある。完全に適用されるまでの移行期間を考慮し、その間に必要な証明書の取得や流通させる商品へのマークの印刷・表示の準備を進めるなど、事前に対応策を講じることが重要だ」と述べている。

<低電圧機器は適用開始時期を再び延期>
低電圧機器に関する規格については現在、ロシア国内制度に関するGOST−RからTRへの移行と、関税同盟技術規則の策定が同時並行で進んでいる。

11年時点では、TRの発効は12年1月1日に、関税同盟技術規則の発効は12年7月1日に予定されていたが、11年12月に関連法令が改正され、TRの発効は14年1月1日以降に(注1)、関税同盟技術規則の発効は13年2月15日に延期された(注2)。

上記の改正と各規格認証制度の関連性を踏まえ、AEBのオフチャロフ氏は「低電圧機器に関する関税同盟技術規則の発効後は、関連のGOST−RやTRは効力を失うため、ロシア国内のTRは最終的には発効しないのではないか」と今後の見通しを語った。

また、低電圧機器に関するTRや関税同盟技術規則の適用開始時期がたびたび延期される要因について、同氏は「ロシアとベラルーシは国際電気標準会議(IEC)の正会員だが、カザフスタンは準会員で、運用面をめぐって、IECの基準順守を主張するロシア、ベラルーシ側とカザフスタンの間の合意がなかなか得られないからではないか」と分析している。

(注1)連邦法第426−FZ号第4条(11年12月12日付)
(注2)関税同盟委員会決定第884号(11年12月9日付)

(宮川嵩浩)

(ロシア・ベラルーシ・カザフスタン)

ビジネス短信 4f31f9ee8aea8