チョコレート、菓子など嗜好食品に増税−1月1日から−

(デンマーク)

コペンハーゲン発

2012年01月11日

1月1日からチョコレートをはじめとする菓子、アイスクリーム、清涼飲料水、ビール、ワインへの税金が引き上げられた。政府は、過剰摂取により肥満につながるような嗜好(しこう)食品や飲料への税率を引き上げることで、国民の生活習慣病を予防したい考えだ。4月からはたばこ税も引き上げられる。商工会議所は、消費者が国外での購買行動に動くことを懸念している。

<脂肪税に続く健康を理由の引き上げ>
2011年10月には国民の健康増進の観点から、脂肪を多く含む食品の摂取を制限する目的で脂肪税が導入されている(2011年10月12日記事参照)。今回は、肥満など健康問題との因果関係が指摘されるチョコレートなどの菓子、アイスクリーム、清涼飲料水(糖分を含むもの)、ビール、ワインなどに対する税金が引き上げられた。チョコレートなど菓子には1922年から課税されており、この増税案は、11年11月に発表された予算案に盛り込まれていた(2011年11月22日記事参照)

政府は今回の増税により、12年に6億3,500万デンマーク・クローネ(1クローネ=約13.2円)、13年に16億6,000万クローネの税収増を見込んでいる。13年の増税幅の見込みが12年を上回るのは、増税対象の拡大が予定されているためだ。

また、ビール、ワインに対する増税で12年、13年ともに6億2,500万クローネの税収増が見込まれている。これらの税収は、医療福祉改善のための財源に充てられる。

<国外での買い物に拍車の懸念>
今回の増税前後の税額の変化と小売価格の変化は表1、2のとおり。税率の引き上げ率はチョコレートなどの菓子34%、アイスクリーム50%、清涼飲料水が46%、ビール25%、ワイン25〜55%となっている。

表1増税前後の税額の変化
表2増税前後の価格変化

12年4月1日からは、たばこも増税され、1箱につき平均3クローネ値上がりする見込みだ。

現在、食料品などは隣国のドイツやスウェーデンの方が国内よりも安く、越境して買い物に行くのが人気になっている。デンマーク商工会議所は、増税に伴い、さらに消費者が国外での購買行動に動くのではないかと懸念している。

(村上朋愛)

(デンマーク)

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