放射線検査対象を見直し−茶、コメ、穀物(同製品)を追加−

(オーストラリア)

シドニー発

2011年12月12日

オーストラリア検疫検査局(AQIS)は12月7日、日本からの輸入食品に対する放射線検査の対象を変更すると発表した。ヨウ素131の検査は今後実施せず、牛乳・乳製品を検査対象から外す一方、茶、コメ、穀物(同製品を含む)を新たに追加した。

<これまでの検査結果はすべて基準値以下>
AQISは3月11日以降、指定された13都県から出荷された野菜、海産物などに対して放射線検査を実施している(2011年5月26日記事参照)。同局のウェブサイトによると、10月31日までに95件の検査を実施し、いずれも基準値以下だった。

<新潟・長野産、牛乳・乳製品は対象外に>
AQISは、オーストラリア・ニュージーランド食品標準局(FSANZ)からの通知を受けて、12月7日付の輸入食品検査通知19/11で、日本から輸入される食品の放射線検査について以下のとおり発表した(表参照)。

○ヨウ素131の検査は行わない(検査対象は、セシウム134と同137)。
○新潟県と長野県産を検査対象から外す。
○牛乳・乳製品を検査対象から外す。
○新たに、茶(生鮮・乾燥)を検査対象に加える。
○新たに、コメ、穀物(同製品を含む)を検査対象に加える。
○セシウム134と同137の検査基準値は、1キロ当たり1,000ベクレル未満(コーデックス基準・従来どおり)。

また、輸入業者と仲買人は、輸入貨物の製造場所、加工場所、生産・包装場所について、新たに英語で説明した書類をAQISに提出することになった。

ジェトロがAQISに問い合わせたところ、新たな検査は、12月8日または9日以降、オーストラリアに到着した貨物が対象になる。

放射線検査の内容

<8都県の野菜、海産物などにセシウム検査>
今回の改正についてFSANZは、日本とシンガポール政府が実施した検査結果を参考にしたとしている。FSANZがAQISに伝えた内容は次のとおり。

○ヨウ素131は、11年6月初旬以降の検査で確認されておらず、半減期が8日と、短期間で大幅に減少する。
○セシウム134と同137は、時間をかけて減少し、日本でも検査が実施されている。
○コメ、穀物、茶を検査対象に加える。
○生鮮、乾燥および冷凍の、果実、野菜、コメ、穀物、海産食品、海藻に対する検査は、福島、茨城、宮城、埼玉、東京、山形、栃木、千葉の8都県産とし、検査内容は、セシウム134と同137とする。
○茶の検査は、千葉、福島、群馬、茨城、神奈川、宮城、埼玉、静岡、栃木、東京、山形の11都県産とし、検査内容はセシウム134と同137とする。

なお、FSANZのスティーブ・マッカチェン最高経営責任者は、FSANZの10/11年度(10年7月〜11年6月)レビューで「日本から輸入される食品の安全性については、オーストラリア放射線規制原子力安全庁(ARPANSA)からアドバイスを得ながら、幅広い2国間関係を通じて、日本、シンガポール、香港で実施された検査結果の情報を得ることができた」と発表している。

(込山誠一郎、ラーイッチ・ピーター)

(オーストラリア)

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