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外国人駐在員の個人所得税減税、見直しか

(オランダ)

アムステルダム発

2011年12月05日

国会で審議中の2012年税制改正案で、外国人駐在員の個人所得税を減税する「30%ルーリング制度」が見直しの対象になっている。この税制改正が実施されると、多くの在オランダ日系企業のコストを上昇させる可能性がある。

<「30%ルーリング」の適用基準改正案を審議中>
「30%ルーリング」は、政府が外国企業誘致のインセンティブとして導入しているもので、一定の条件を満たす外国人駐在員の個人所得税を、10年間にわたって30%軽減する。例えば、最高税率(52%)が適用される外国人駐在員の場合、実効税率は36.4%(52×70%)に軽減される。

9月に発表された税制改正案のうち、現在、国会で審議されているのは(1)オランダ国境から150キロ圏内の外国に居住する被雇用者に対する適用除外、(2)特別な能力・技能の判定基準の変更、(3)適用減算期間の延長、(4)博士号取得者に対する適用の4点。それぞれのポイントは以下のとおり。

(1)オランダ国境から150キロ圏内の外国に居住する被雇用者に対する適用除外
改正案では、国境から150キロ圏内の外国に居住し、オランダに通勤している外国人労働者を30%ルーリングの適用対象外とする。この改正で、ドイツ国境と接しているマーストリヒトに勤務する日本人駐在員の一部が、適用除外になる可能性がある。マーストリヒトにある企業の駐在員の中には、通勤の利便性などから国境から150キロ圏内のドイツに居住しているケースがあり、これまでは30%ルーリングが適用されていた。

しかし、この改正案は「150キロの定義」や「EU法との整合性」が議論されており、最終的にどのような運用が行われるか、不透明な部分が多い。

(2)特別な能力・技能の判定基準の変更
30%ルーリングの適用を受ける要件として、オランダでは得がたい特別な能力・技能を持つことが求められている。現在は、「特別な能力・技能」の判断は、担当する省庁が技能や職種などを総合的に考慮して行っている。しかし、改正案によると、年間給与総額が7万2,313ユーロ以上(2011年基準)の外国人駐在員だけを「特別な能力・技能」を持つ者としている。

これにより、現在30%ルーリングの適用を認められている一部の日本人駐在員が、適用対象から外れる可能性がある。例えば、現在は日本料理の調理人などは、その技能が「特別な技能・能力」と認定されている。しかし、改正されると給与額が基準になるため、日本から調理人を派遣しているレストランでは、一部調理人が30%ルーリングの適用を受けられない事態になる。なお、基準になる給与基準は毎年見直しが行われる見込み。

改正案は現在国会で審議中で、国会では基準の年間給与を5万ユーロに引き下げる案も議論されている。他方、30%ルーリングの適用期間を8年とする案も議論されており、最終的な結論は予断を許さない。

(3)適用減算期間の延長
30%ルーリングの適用は延べ10年間だが、これまでは過去10年間にさかのぼって駐在の有無を確認し、過去の駐在期間を適用期間から減算してきた。改正案では、これを25年間までさかのぼるとされている。

(4)博士号取得者に対する適用
改正案では博士号取得者に対して、前記(1)〜(3)とは別の基準で30%ルーリングの適用判断が行われ、博士号取得者は給与総額3万8,008ユーロ以上が適用基準となる。

<今国会で採択なら12年1月から適用>
今回の税制改正は、今国会で採択されれば、12年1月1日から適用が開始される予定。ただし、国会での審議次第では、適用開始日が先送りされる可能性もある。既に11年中に30%ルーリングの適用を受けている外国人駐在員は、既得のルールで運用される。しかし、既得の30%ルーリング適用から5年が経過した時点で、今回の改正基準を基に適格審査が行われることになる。

(川西智康)

(オランダ)

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