BC州産木材で被災地域の公的施設を建設−連邦・BC州・木材業界団体共同で復興支援−

(カナダ)

バンクーバー発

2011年11月18日

連邦政府とブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府、ならびに木材業界団体は11月10日、「カナダ−東北復興プロジェクト」を発表した。この計画は、東日本大震災で被害を受けた東北地方の復興支援として、BC州産の木材を使用し被災地域の一部公的施設の再建に協力するものだ。

<学校、高齢者養護施設などの再建に協力>
連邦政府のジョー・オリバー天然資源相、BC州のスティーブ・トンプソン森林・国土・天然資源開発相は訪日中の11月10日、木材業界団体カナダ・ウッド・グループの協力の下、BC州の木材を供与して、被災地域の学校や高齢者養護施設といった公的施設の建設を行うと発表した。

オリバー天然資源相らが仙台を訪問した際、震災後初めてカナダ産の木材を積んだ船が、再建された仙台港にちょうど到着した。同相は「両国の貿易関係は100年超に及び、強い関係で結ばれている。喜んで日本のサポートをさせてもらいたい」と述べた。今後はカナダ・ウッド・グループが日本政府や各地の自治体と協力して計画の具体化を進めていく。BC州の木材を提供するだけでなく、施設建設に当たっては技術面の専門家を送るなどのサポートも行う予定だ。

連邦政府によると、木造の建築物は耐震性や順応性があり、ほかの建築素材に比べ温室効果ガスの排出も低く抑えられるといった環境面での優位性もあるため、施設の再建に適切だという。

この計画には、総額450万カナダ・ドル(Cドル、1Cドル=約75円)が投じられる。連邦、BC州の両政府が200万Cドルずつ、また、木材産業関連企業11社も50万Cドルを拠出する。

<日本は木材輸出の優良固定客>
BC州から日本向けの木材関連製品輸出(2011年1〜9月)は約6億6,000万Cドルで、アジア向けでは、近年伸長著しい中国向けの約10億7,000万Cドル(同)に次ぐ2番手だ。また、日本には良質で比較的単価が高い木材が輸出されており、BC州木材業界にとって日本は優良固定客といえる。

このことから、従来日本との結び付きが強く、震災直後には日本からBC州企業に合板の引き合いが急増した。また、バンクーバー近郊に拠点を持つ住宅メーカーが被災地向けの仮設住宅を供給した事例もあった。

今回の復興支援計画は、森林資源が豊富で日本との結び付きも強いBC州の特徴を生かしたものといえる。品質の良いカナダ産木材を復興に役立てるとともに、より一層日本市場への浸透を図りたい考えだろう。

(岡野祐介)

(カナダ)

ビジネス短信 4ec47b9c90880