放射線安全証明が不要に−日本産食品輸入−

(チリ)

サンティアゴ発

2011年10月13日

福島の原子力発電所事故に起因して発動された保健省決定第335号(6月3日官報掲載)が9月30日に撤廃された。これにより、日本産食品の輸入通関時に要求されていた放射線安全証明は不要になった。

<日本の放射線対策を評価>
保健省は9月30日、日本からの食品輸入に対して放射線安全証明要求を規定していた保健省決定第335号の撤廃(保健省決定第726号)を官報に告示し、即日施行した。

同省は撤廃の主な理由として、以下の3点を挙げた。
(1)チリ核エネルギー委員会の8月3〜9日の報告書によると、日本政府が汚染リスクがあると思われるさまざまな食品、合計1,385サンプルを分析した結果、放射性物質は検出されなかったか、またはチリの許容値の範囲内だった。
(2)チリ核エネルギー委員会の8月17日の報告書によると、日本のロードマップの第1段階(原子炉冷却の安定化)は終了した。
(3)在日チリ大使館農業担当官の7月17日の報告書によると、日本での食品汚染は克服され、放射性物質の数値はチリの許容値の範囲内に収まっている。

<通関業者は安堵>
6月3日から施行されていた輸入通関時の放射線安全証明提出義務の影響について、国際貨物輸送業者のサンティアゴOCSに聞いたところ、当初は日本国内に十分情報が行きわたっておらず、安全証明の不備や証明書のフォームの不確定などさまざまな問題が生じ、税関で荷物がストップするケースも少なくなかったという。しかし、税関側の柔軟な対応もあり、後から安全証明を添付するなどの方法ですべての荷物を通関できた。ただし、通関は通常以上に時間がかかったという。

9月30日からは、放射線安全証明提出が不要になり、輸送・通関業者は安堵(あんど)しているようだ。

日本からの野菜、果物、農産品、畜産品などのほとんどの食品は、農牧庁(SAG)の動植物検疫規制により、実質的に輸入できない状況にある。ただし、魚介類、加工性の高い食品輸入は可能だ。11年6月1日〜8月31日の日本からの食品・農産品の輸入額は、前年同期比13.6%減の21万3,219ドルだった。主な輸入品目は、調整食品、カンゾウなど野菜エキス、しょうゆ・調味料、ラノリン、キャラメル、日本酒などだ。しかし、これらの輸入額は、同期の日本からの総輸入額5億4,214万6,000ドルの0.039%を占めるにすぎない。

(延田幹夫)

(チリ)

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