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初めて女性に参政権認める

(サウジアラビア)

リヤド発

2011年10月04日

アブドゥッラー国王は9月25日、将来的に地方自治評議会(地方議会に相当)への女性の投票と立候補、諮問評議会(国会に相当)への女性の参加を認めると発表した。国内で史上初めて女性が政治に参加する権利を得ることになる。一方、6月以来本格的に進められている労働力のナショナリゼーション・プログラム(自国民化政策)の一環として、女性の就業機会を拡大する動きも進んでいる。女性の社会進出の機会が極めて限定されてきた中で、国王の指導力の下、ゆっくりではあるが着実に扉が開かれようとしている。

<国王が強い指導力を発揮>
アブドゥッラー国王は9月25日、諮問評議会の冒頭演説で、2015年に行われる次回の地方議会選挙に女性の立候補と投票を認めると発表した。同時に、現在は男性だけが任命されている諮問評議会(任期4年、定員150人)の次期改選期(13年)に、女性も任命すると発表した。国内では女性の政治参加はこれまで認められておらず、実現すれば歴史的な変化になる。主要紙は、この措置を歓迎するという女性のコメントを多数掲載している。

サウジ米国議員連盟の会長を務め、日本との関係も深いクルディ諮問評議会委員はジェトロの取材に対し、「今回の国王の英断は、すべての国民から歓迎されている。国王から発言があった瞬間、諮問評議会始まって以来初のスタンディングオベーションが起こり、本当に感動の瞬間だった」と答え、さらに次のように語った。

「諮問評議会は6月に、次回地方議会選挙で女性の参政権を求める提言をしているし、これまで女性がかかわる議題に対しては、アドバイザー的な役割として非常任女性顧問を任命するなど、女性の意見を反映するよう務めてきた。今回のセッションで、地方議会への女性の参政権が認められることは期待していたが、諮問評議員まで認めた今回の国王の決定は予想を超えるもので、私自身も驚いた。このことからも分かるように、政府は国民のニーズに基づき着実に改革を進めている」

アブドゥッラー国王は即位以来、女性の教育機会と社会進出の拡大に向けて、宗教界と粘り強い対話を続け、慎重に取り組んできたといわれる。今回の措置も、シャリア(イスラム法)に沿ったものであること、高位イスラム法学者にも諮問し合意を得ていることを強調している。

また、今回の決定は、唐突なものではない。国王は09年に国内で初めての男女共学校となるアブドゥッラー国王科学技術大学(KAUST)を設立、11年9月に国内最大の女子大プリンセス・ヌーラ大学を開校したほか、女性の教育参加への重要性と雇用機会の創出をことあるごとに表明してきた。さらに11年6月にスタートした労働力の自国民化政策(2011年6月16日記事参照)にも、女性の就業機会の拡大措置を盛り込むなど、これまで進めてきた社会改革の流れに沿ったものと理解できる。

政治に国民が本当に参加しているのか、という点については議論があるところだが、少なくとも現在の仕組みの中で女性の声が公式に政治に反映されるようになることは大きな意義がある。

<女性の就業機会も大幅拡大>
今回の措置に先立ち、国王は労働相に女性の就業機会の拡大を促進する措置を講ずるよう強い指示を出していた。6月に発表された労働力の自国民化政策では、サウジ人雇用比率を業種ごとに定めた「Nitaqatプログラム」が注目されたが、同時に女性の就業機会創出も含まれている。

労働省から閣議決定として各地の商工会議所に伝えられた内容として、以下の3つの措置が発表されている。

(1)女性が身に着けるもの(衣類、化粧品、アクセサリーなど)を扱う店で女性が働くことを認める。
(2)製造業の工場で女性が働くことを認める。ただし、鉱業、石油・ガスの掘削、建設、自動車や家電製品の修理工場、溶接や塗装業、肥料工場、清掃業など、主に健康に影響を与える可能性のある業種への就業は禁止。また、工場の1つの製造ラインは、原則として女性だけとする(経過措置あり)。
(3)在宅勤務などでパートタイムでの就業体系を認め、サウジ人雇用比率はパートタイムで働く女性2人分を正規雇用者1人分と見なす。

これまで女性の就業には労働省の事前許可が必要だったが、(1)〜(3)に該当するものは事前の許可なく各企業の判断で雇用できるようになった。ただし、労働省が定めた条件に違反が認められたときには、労働法に基づき罰則が科される。労働省は同時に、女性に適正な職場環境を整えることや、賃金体系、医療保険など、男性と差別することなく同様の処遇をすることを強く促している。

このように、女性の政治参加が実現し、経済活動への参加が増え、女性の発言機会が増えていけば、国王が進める社会改革も加速化するとみられる。通勤には家族か運転手による車の送迎が必要な現状に不自由を感じ、公共交通機関の整備を求める声や、5月ごろ話題になった女性の運転の可否をめぐる議論も盛んになろう。

(村橋靖之)

(サウジアラビア)

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