FTA・EPA関連のCO発給は商工省輸出入管理課で
ハノイ発
2011年10月03日
「ベトナムで原産地証明書(CO)はどこで発給されるのか」という質問がジェトロに多く寄せられる。CO発給は商工省輸出入局が所管し、申請場所はベトナム商工会議所(VCCI)、または商工省の各地区の輸出入管理課だ。
<商工会議所は全国12ヵ所で>
COの申請場所は法律で規定されている。2006年2月20日付政府政令19/2006/ND−CP号とその施行細則06年4月17日付商業省(現商工省)通達07/2006/TT−BTM号だ。
VCCIは商工省からCO発給の委託を受けており、全国12ヵ所で発給している。発給されるCOは主に、(1)欧州向け一般特恵関税制度(GSP)フォームA、(2)フォームB(輸入国では特恵関税を受けないがCOが必要な場合)、(3)フォームDA59(南アフリカ共和国向けの輸出で必要な場合)、(4)フォームICO(コーヒー輸出の場合)、(5)フォームベネズエラ(ベネズエラ向け輸出の場合)、(6)フォームM(メキシコ向けの繊維製品と靴製品の場合)の6種類。
VCCIの発給担当者によると、このフォームの中で(1)と(2)の発給件数、金額が多い。なお、VCCIは自由貿易協定(FTA)に関連するCOは発給しない。このため、現在、交渉開始予定のEUとのFTAが発効した場合、多くの品目で欧州向けGSPフォームAの発給がなくなる可能性がある。
08年12月に日本ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)が発効する前は、日本はベトナムに対してGSPを付与していた。しかし、協定発効後はほとんどの品目で税率がGSPより低くなったために適用から除外された。そのため、該当品目はGSPに代わり、AJCEPや日・ベトナム経済連携協定(JVEPA)でのCOが必要になり、申請場所もVCCIから商工省の各地方輸出入管理課に変更された。現在、AJCEP税率およびJVEPA特恵税率の適用対象外(除外)でGSPの適用可能な品目は14品目、前記2つの特恵税率の適用対象でGSP適用可能な品目は41品目になっている(PDF)。
<商工省の発給場所は全国27ヵ所>
FTA関連のCO発給は、商工省の各地区の輸出入管理課で行っている。現在、27ヵ所の発給機関があり、その中には9ヵ所の工業団地管理局も含まれている。発給されるCOは主に、(1)フォームD〔ASEAN貿易物品協定(ATIGA)〕、(2)フォームE(ASEAN・中国FTA)(3)フォームAK(ASEAN・韓国FTA)、(4)フォームAJ(AJCEP)、(5)フォームVJ(JVEPA)、(6)フォームAANZ(ASEAN・オーストラリア・ニュージーランドFTA)、(7)フォームAI(ASEAN・インドFTA)、(8)フォームS(ラオス向け輸出)の8種類。計画投資省に属する工業団地管理局は、「フォームD」の発給を商工省から委託されている。
発給機関では現在、スタッフ不足が問題になっている。ハノイ輸出入管理課は9人のスタッフが発給作業を行っているが、ハイフォンは2人、ハイズオンは3人とかなり限られている。今後スムーズな発給作業を行うためには、スタッフの増員が必要になるだろう。
(佐藤進)
(ベトナム)
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