イキケ・フリーゾーンが活況
サンティアゴ発
2011年08月10日
設立企業数で南米最大のイキケ・フリーゾーン(ZOFRI)が活況を呈している。2010年の同地域内の販売額は史上最高を記録した。11年上半期はそれを上回る勢いだ。
<ボリビア向け中古車、電気製品の供給拠点>
国内には、第1州のイキケ、第2州のトコピージャ、第12州プンタアレーナス、第15州のアリカと4つのフリーゾーンがある。いずれも、法人税(第1種カテゴリー税)、付加価値税、関税が免除され、フリーゾーン区域内では保税倉庫に保管できるほか、開梱(かいこん)、展示、再梱包もできる。フリーゾーンを含む当該州内の特定の県は拡大フリーゾーンとして指定されており、それら地域への販売も可能だ(単一税0.6%が課される)。拡大フリーゾーンには、イキケ拡大フリーゾーン(第1州、第15州)とプンタアレーナス拡大フリーゾン(第12州、第11州と第10州のパレーナ県)がある。
北部のアリカ・フリーゾーンには電気・電子、機械・金属加工業、トコピージャ・フリーゾーンには鉱業関連の機械・設備の中間財製造と修理業の設置が認められている。これらの中で最も日本に関係が深いのはイキケ・フリーゾーンだ。同地域には10年時点で1,947社が設立されており、設立企業数ではフリーゾーンとして南米最大の規模になっている。地理的にぺルー、ボリビア国境に近く、中でも内陸国のボリビアにとっては実質的な太平洋への玄関口として重要な位置を占める。日本製品に関しては、主に中古車や電気製品のペルー、ボリビア、パラグアイ向け商流のハブとなっており、当該国のバイヤーがやって来て、それら製品を購入していくパターンが多い。
<11年の売上高は史上最高の10年を上回る勢い>
イキケ・フリーゾーンの運営管理と振興を目的に、チリ経済開発公社(CORFO)は1990年にZOFRIを設立した。同社のカラゴル・サンティアゴ支店長によると、2010年の同地域設立企業の総売上高は34億8,500万ドルで、史上最高となった。このうち、フリーゾーンと拡大フリーゾーンなどでの売り上げを除く海外への販売額は14億3,560万ドルだった。内訳は、ボリビア46%、パラグアイ24%、ペルー21%となっており、この3ヵ国で9割以上を占めている。
なお、11年上半期の総売上高は前年同期比21.5%増の19億5,000万ドルで、11年は記録を更新する可能性が高まっている。好調の要因の1つに中古車(27%増)が挙げられる。ボリビアの自動車登録に関する法改正を受け、同国の中古車バイヤーがイキケに殺到し、売上高を押し上げたようだ。
他方、イキケ・フリーゾーン設立企業による海外からの購入総額も10年は39億3,600万ドルと史上最高を記録した。中国、日本、韓国を主体とするアジアからの購入が61%を占め、ほかの中南米諸国(17%)、北米(15%)を大きく引き離している。
(竹下幸治郎)
(チリ)
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