コスタリカとのFTAが発効

(中国、コスタリカ)

北京発

2011年08月05日

商務部は、8月1日に中国・コスタリカ自由貿易協定(FTA)が発効したと発表した。FTA発効は中国にとって10件目。

2010年4月8日の締結当時、交渉期間が1年1ヵ月しかかからなかったことが話題になった。同協定は、同年下半期の発効が目指されたが(2010年4月14日記事参照)、実際には1年4ヵ月弱かかった。

<6割強の関税を即時撤廃>
10年の両国間の貿易額は38億ドル(前年比19.2%増)で、中国の輸出が6億9,000万ドルなのに対し、輸入は31億1,000万ドルと圧倒的に多い。また、コスタリカにとって中国は米国に次ぐ第2の貿易相手国だが、中国の貿易総額に占める対コスタリカ貿易の割合は0.1%にすぎない。

この協定では、双方とも90%以上の産品を段階的にゼロ関税とすることを目指している。うち60%以上を発効時に、約30%は5〜15年かけて実施する。

発効時に関税ゼロとなるのは、中国側は約5,200品目。これは中国の税品目総数の65.5%で、金額は10年の中国の対コスタリカ輸入の90%。コスタリカ側は約4,100品目。これはコスタリカの税品目総数の62.9%で、金額は10年の中国の対コスタリカ輸出の60%。

商務部は、関税引き下げによる中国企業のメリットとして、コスタリカと中米市場への輸出増加と市場占有率の上昇を挙げ、具体的品目として、紡績原料・同製品、軽工業品、機械、電器設備、野菜、果実、自動車、化学工業品、生毛皮、皮革などがあるとしている。またコスタリカからの原材料輸入にもメリットがあるとし、生皮、飼料用の魚粉、ボーキサイト、鉄鉱石、石炭などを挙げた。

商務部はそのほか、中国のりんごジュースは今後ゼロ関税でコスタリカ市場に入ることになり、15%の関税納付が不要になるとしている。コスタリカの代表的産品のコーヒーが中国にゼロ関税で輸入される時期は協定発効後10年以内とされている。

これまでに発効した中国とのFTAには、ASEAN、チリ、パキスタン、ニュージーランド、シンガポール、ペルーのほか、香港、マカオとの経済連携緊密化協定(CEPA)、台湾との海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)がある。

現在、中国がFTAを交渉している国・地域は、オーストラリア、湾岸協力会議(GCC:サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、バーレーン)、スイス、ノルウェー、アイスランドなどがある。

(箱崎大)

(中国・コスタリカ)

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