労働許可証の免除対象を拡大

(ベトナム)

ホーチミン発

2011年07月28日

政令第46/2011/ND−CP号の公布(6月17日)により、ベトナムで就労する外国人の採用・管理に関する規定(政令第34/2008/ND−CP号)が改正された。8月1日から発効する。労働許可証の取得を免除する対象者を拡大した。

<駐在員事務所長も取得免除対象に>
今回の改正で、労働許可証取得免除の対象者として、現行の7つのケースに5つのケースが追加された。とりわけ、駐在員事務所の所長が取得免除の対象とされたことは、外国企業にとってメリットが大きい。ただし、取得免除の場合でも、従来どおり、就労を始める日の7日前までに労働傷病兵社会局への報告が必要とされており、注意が必要だ。

○これまでの免除対象
(1)3ヵ月未満の期限で国内で就労する外国人
(2)成員(出資者)が2人以上の有限責任会社の成員(出資者)
(3)成員(出資者)が1人の有限責任会社の所有主
(4)株式会社の取締役会のメンバー
(5)サービス売り込みのために入国する外国人
(6)ベトナム人または国内にいる外国人専門家では解決できない経営、生産上に影響を与える恐れのある事故、複雑な技術的事象の発生といった緊急事態の解決を目的に入国する外国人(3ヵ月以上の場合は、3ヵ月を終えた時点で労働許可証の申請が必要)
(7)法律の規定に基づいて司法省から就業許可を発給された外国人弁護士

○新たに追加された免除対象
(8)代表事務所(駐在員事務所)の所長、プロジェクトオフィスの所長、非政府組織からベトナムでの活動の代表を委任された者
(9)ベトナムのWTOサービス約束表にある11の業種(経営サービス、通信サービス、建設サービス、流通サービス、教育サービス、環境サービス、金融サービス、医療サービス、旅行サービス、文化娯楽サービス、運輸サービス)で企業内異動する外国人(注)
(10)ベトナムの管轄機関と外国との間で締結されたODAに関する国際条約の規定または合意に従い、ODAの援助資金を使用するプログラム、プロジェクトの研究、建設、審査、追跡評価、管理および実施にかかわる専門的・技術的コンサルティングサービスの提供、または、その他の任務を実現するために入国する外国人
(11)ベトナム外務省からベトナムでの情報、メディア活動の許可証を発給された外国人
(12)政府の規定によるそのほかの場合

<公安省との連携を強化>
今回の改正では公安省との連携強化が規定された。「政令の発効から6ヵ月後、ベトナムで就労する外国人が労働許可証を持っていないか、まだ労働許可証の申請書類を提出していない場合、労働傷病兵社会省は公安機関に対し、強制出国または強制退去の措置を求める」とされた。改正前は「労働許可を取得せずに6ヵ月以上就労している場合」が公安への要請の条件とされていたが、改正後は政令の発効から6ヵ月目以降の不法就労は即その対象となる。

また、労働許可証と公安当局が所管する滞在査証(ビザ)の発給の関係が以下のとおり明示された。

○労働許可証の発給、更新、または再発給の後に、外国人に対してビザを発給する。

○労働許可証の取得が免除されている場合を除き、ベトナムで就労する外国人で労働許可証の発給を受けていない場合、または労働許可証の有効期限が切れているか無効になっている場合には、ビザを発給しない。

○労働許可証の取得が免除されている場合を除き、ベトナムで就労する外国人で労働許可証の発給を受けていない場合、または労働許可証の有効期限が切れているか無効になっている場合には、一時滞在の期限を延長せず、強制出国、または強制退去させる。

<外国人の現地採用の前にベトナム人の求人広告を義務付け>
現地採用で外国人を雇う際には、これまでも求人広告の掲載が義務付けられていたが、今回の改正では「採用の少なくとも30日前に、使用者は外国人を採用する予定の職位に対するベトナム人労働者の求人を、少なくとも中央の新聞1紙、地方の新聞1紙に掲載しなければならない」とされ、外国人を採用する前にベトナム人の求人を行うべきことが明確にされた。職業紹介組織を通して外国人を採用する場合に求人広告が不要な点は、従来どおり変更はない。

また、外国人の現地採用の際に必要とされていた書類のうち「労働傷病兵社会省の規定の様式による履歴書」の提出を不要とし、手続きの簡素化が図られた。他方、現地採用された外国人の労働許可証を更新する際の提出書類として「外国人が担当している業務を(ベトナム人に)代替するため、企業とベトナム人労働者との間で締結された研修契約の写し」が新たに追加された。

<労働許可証の発給期間を短縮>
適法な労働許可申請書類を受理してから労働許可証発給までの期間は、従来の15営業日から10営業日に短縮された。

さらに、使用者に対して、外国人の採用と雇用の必要性について、毎年、その職位ごとに、人数、専門レベル、経験、給与、就労期間(開始および終了)を労働傷病兵社会局に登録することを義務付けた。

(注)対象者の確定のための手続きなどは、今後、商工省がガイダンスを行う。

(北嶋誠士)

(ベトナム)

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