システム・エア、拡大する換気市場参入に意欲−EU環境展参加企業に聞く−

(日本、スウェーデン)

欧州ロシアCIS課

2011年02月17日

システム・エアは、世界40ヵ国・地域に事業所を持つ換気・大気浄化機器の専門メーカーだ。建物の高気密・高断熱化に伴い、日本でも換気機器に対する需要が拡大していることから、日本市場開拓に本格的に着手した。日本での総代理店を探している。シリーズ最終回。

<高品質、蓄積したノウハウ、短い納期が強み>
システム・エアは欧州をはじめ、北米、中東、アジアなど40ヵ国・地域で、換気用機器とそのシステムを販売している。1974年に創業し、全世界で2,400人の従業員を雇用する。同社にとって日本市場は参入しにくい市場のようだ。

来日したラーシュ・ビーク地域担当マネジャーはその理由として、日本の建築業者は外国製の住宅資材に対して警戒心が強いことと、パナソニック、日立製作所、東芝などの強力な競合企業の存在を挙げた。さらに日本の個人住宅は、北欧など欧州の住宅に比べ気密性が低く、換気システムの導入が遅れていたこともある。

しかし、近年は省エネルギー意識の高まりを背景に、住宅の高気密・高断熱化が進み、同時にシックハウス対策として、2003年7月には建築基準法が改正され、換気機器の設置が義務付けられるなど換気用機器の市場が急速に拡大しているため、本格的に日本市場で顧客開拓を図りたいとしている。

同社製品の特徴は、種類の多さだろう。個人住宅用から商業用建物、駐車場用、トンネルや空港といった大規模公共施設用に至るまで、多様な用途に対応する各種ファンに加え、最大85%の熱回収率を誇る熱回収装置、エアカーテン、ファンヒーター、空気分散製品など品ぞろえが豊富だ。ビーク氏は同社の強みとして、a.省エネ効果の高さ、換気性能の良さといった高品質、b.各国での幅広い販売実績を通じて蓄積したノウハウ、c.製品の98%を常に在庫していることによる短い納期、という3点を挙げている。

<総代理店を募集>
総売上高は直近で年間32億クローナ(約410億円)。輸出比率は75%で、売上高を地域別にみると、西欧34%、北欧28%、中・東欧およびCIS20%、北米8%、その他9%だという。同社の課題はその他の地域、特にアジア地域での市場拡大だ。

同社はスウェーデンのシンスカッテベリの本社工場のほか、欧州7ヵ国、米国、カナダなど国外に13ヵ所の生産拠点を持つ。アジアではマレーシアに拠点があり、日本向けの製品の多くは同工場から輸入される。

来日の目的としてビーク氏は「日本での総代理店となるパートナーを見つけたい」と語った。10年ほど前から北海道の業者が熱回収装置(VM)1点に絞って同社の製品を取り扱っているほかは、小規模の業者による単発的な取引にとどまっている。本格的な日本市場開拓のため「換気機器分野や建築に強く、同社の製品を総合的に扱ってくれるパートナーをぜひ見つけたい」と意気込んでいる。

(岩井晴美)

(スウェーデン・日本)

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