環境・エネルギー分野の中小企業が東京に集結−EU環境展参加企業に聞く−

(EU)

欧州ロシアCIS課

2011年02月07日

日本とEUの貿易・投資を促進するための「EUゲートウェイプログラム」を活用した「環境・エネルギー関連技術展示商談会」(EU環境展)が2月1、2日、東京で開催された。廃棄物処理・リサイクル、再生可能エネルギーなどの分野での欧州企業の日本での取り組みについて、8回に分けて報告する。

<EUとして対日ビジネス振興を図る>
「EUゲートウェイプログラム」はEU企業と日本企業の交流活性化を目的に、EUが取り組んでいるビジネス促進キャンペーン。今回で第4期を迎え、1994年の第1期キャンペーン開始以降、延べ2,770社のEU企業が参加した。

2009年にスタートした第4期キャンペーンでは特に、a.環境・エネルギー関連技術、b.建築資材・建設技術、c.医療ヘルスケア製品・技術、d.情報通信技術、の技術4分野と、e.ファッション、f.インテリア、のデザイン2分野に照準を合わせ、展示商談会・セミナーが毎年開催(第4期キャンペーン期間は14年まで)される。

今回の展示商談会は環境・エネルギー関連技術分野を軸に、EU27ヵ国のうち15ヵ国(オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国)から34社が出展した。

出展企業のほとんどが中小企業で、欧州域外でのビジネス経験が浅い。しかし、EUの支援を活用することで、新たな販路拡大も意識しており、「こういう機会があれば、法制度の違いから進出が難しい環境分野でも、市場参入の可能性を探る第一歩になる」(ドイツ企業A社)とみている。

<代理店発掘の機会としても活用>
小型風力発電機を手掛けるガイア・ウインド(英国)は、日本でも風力発電による電力の買い取り制度が導入されることを想定し、先行的な市場参入の機会として出展した。同社の事業開発責任者は「代理店探しが今回の出展の狙いの1つ」とコメントしている。同じく風力発電関連では、アモニット(ドイツ)も、風力発電基地のモニタリング、気候条件の調査などのための測定機器の代理店を日本で探すという。

今回の出展企業の中で、最も規模が大きいSMAテクノロジー(ドイツ)は、太陽光発電設備用インバーターで世界シェアの4割近くを握っており、従業員は4,000人を超す。中国、韓国、インドなどには既に販売サービス拠点があるが、日本にはないため、体制強化が急務になっている(現在、法人設立準備中)。品質やアフターサービスに厳しい日本市場は、同社にとって「アジア最後の市場」と位置付けられている。

このほか、エルダン・リサイクリング(デンマーク)は、廃棄物処理機械・プラントで既に日本市場に参入しているが、知名度向上のほか、新規顧客開拓を代理店であるコーレンス(東京)とともに進めるため、出展している。

「代理店探し」「ブランド浸透」「新規顧客開拓」など、出展した欧州の環境・エネルギー分野を担う中堅・中小企業の思惑はさまざまだが、主な企業事例7件を次回以降に紹介する。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 4d4b5467d2348