16年までにエネルギー消費量を9%削減−欧州各国の省エネルギー政策−

(チェコ)

プラハ発

2010年08月03日

政府は省エネルギーを重要政策に位置付け、2016年までにエネルギー消費量を9%削減するという目標を掲げている。04年に定めた「2030年までのエネルギー政策」を現在改定中で、再生可能エネルギー(RE)の普及促進などが盛り込まれる見込みだ。チェコの省エネ政策前編。

<30年までのエネルギー政策を改定中>
政府は、06年4月にEUが採択したエネルギーサービス指令(2006/32/EC)に基づき、07年6月に自国の「2016年までのエネルギー効率化行動計画」を策定した。この計画の中で政府は、16年に向けてのエネルギー効率化目標を分野ごとに設定している(表1参照)。具体的には、16年までに国内のエネルギー消費量を、02〜06年の平均消費量比で9%削減するというものだ(表2参照)。この計画は、現在政府が改定中の「2030年までのエネルギー政策(第2版)」に反映される見通しで、30年に向けた中間目標の役割を担っている。

表1各部門のエネルギー削減目標量
表202〜06年までの年間平均消費量

現在改定中の「2030年までのエネルギー政策(第2版)」では、REの普及促進や、グリーン投資スキーム(GIS、注1)の活用などが盛り込まれる見込みだが、基本的には04年に定められた「2030年までのエネルギー政策(第1版)」を踏襲すると思われる。この中で環境省担当者が重視していると指摘したポイントは以下のとおり。

(1)10年までに、EUが定めた排出枠に準じる〔二酸化硫黄(SO2)=26万5,000トン、窒素酸化物(NOx)=28万6,000トン、揮発性有機化合物(VOC)=22万トン〕。
(2)京都議定書(それ以降の国際的なルールを含む)を含む国際的な合意の順守。
(3)REの普及促進。
(4)国内の主要なエネルギー消費に占めるREの使用拡大〔2030年までにREの使用比率を16%に(注2)〕。
(5)輸送機関の二次燃料の使用拡大と代替燃料のシェアの拡大。
(6)温室効果ガスの縮減。

なお、政府はエネルギー使用量の多い家庭分野につき、日本政府とのGISを活用し、着実にエネルギー効率の改善に取り組もうとしている。

(注1)気候変動枠組み条約・京都議定書で割り当てられた削減目標に対して、実際の排出量が目標排出量を下回ると予想された国が、余剰枠を他国に売却し、この売却益を温暖化ガス削減プロジェクトなどに投資を行うスキーム。
(注2)2030年までのエネルギー構成目標は固体燃料(構成比30〜32%)、ガス(20〜22%)、液体燃料(11〜12%)、核燃料(20〜22%)、RE(15〜16%)。

(佐野浩)

(チェコ)

ビジネス短信 4c5657d6664b8