観光業の損失、5億コルナ超と深刻−アイスランド火山活動の影響−
プラハ発
2010年04月27日
アイスランドの火山噴火に伴う空港閉鎖によるプラハ空港とチェコ航空の損失額は計1億5,000万〜2億コルナ(1ドル=約19コルナ)、また国内観光業者の損失額は5億コルナと見積もられている。観光業への影響は深刻で、小規模な旅行社にとっては壊滅的な損害になることが危惧されている。
<物流停止の影響は軽微>
国内の空港は4月16日午後から18日まで閉鎖され、19日もプラハ空港の発着便数は通常の20%程度にとどまった。キャンセルされた便数は合計約1,700便に上った。
プラハ空港管理局は、空港使用料が入らなかったことなどによる損失額を約5,000万コルナと見積もっている。一方、チェコ航空(CSA)は、正確な損失額はまだ算出されていないとしながらも、閉鎖1日当たり1,000万コルナ単位、閉鎖期間総計では1億〜1億5,000万コルナとの予想を発表した。またチェコ第2の航空会社、トラベル・サービスは損失額を7,300万コルナと見積もっている。
プラハ空港管理局総裁兼CSA社長のミロスラフ・ドボジャーク氏は25日、「この数字(損失額)は、(プラハ)空港とCSAの将来を脅かすようなものではない」と述べ、現在のところ国に財政支援を求める意思はないことを明らかにした。
経済界からは、一部小売業での輸入生鮮品の不足、企業の在庫縮小が報道されたほかは、物流停止による深刻な影響の声は特に出ていない。これには、貿易物資の輸送に航空便が利用されるケースは極めて少ないことが関係している。2009年の輸出入品のうち鉄道利用が3,900万トンだったのに対し、航空便利用は1万3,000トンにすぎなかった。
<小規模観光業者は存続の危機>
しかし今回の空港閉鎖が、観光業全体に与えた影響は深刻だ。チェコツーリズム(チェコ観光局)によると、空港閉鎖によってチェコへの旅行をキャンセルした外国人観光客数は6万人、4月16〜21日の間の外国人観光客受け入れ関連企業(旅行社、ホテルなど)の損失額は5億コルナに上っている。22日以降も旅行キャンセルが相次いだため、最終的な損失額はこれをさらに上回る見込みだ。チェコ旅行社連盟のスィベク総裁は「小規模な企業や自営業者にとっては、存続を左右する事態だ」との危惧を表明した。
観光業による外貨収入は、経常収支のサービス収入の約3分の1を占めている。コルナ高の影響もあり、近年のピークだった08年には72億730万ドルを計上、09年は64億7,840万ドルだった。統計局によると、09年に国内の宿泊施設を利用した外国人観光客は608万人。国別ではドイツが最も多く140万人、以下、英国(37万人)、イタリア(36万人)、ポーランド(35万人)となっている。日本人観光客は11万人で、国別で12位、欧州以外の国では米国(27万人)に続いて2位だった。
(中川圭子)
(チェコ)
ビジネス短信 4bd648ee76e58